ECとリアル店舗、ファッション消費の未来とパーソナライゼイション
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11月6日発売のWWD ジャパン 創刊2000号記念号 は1979年の創刊時からこれまでのファッション流通の出来事が年代別にレビューされていて大変読み応えがありました。
もちろん、歴史を振り返るだけでなく、キーパーソンたちが未来を語るコメントも多数あり、
特に後半162-163ページにある
米パーソナルスタイルパッケージ提案ECサイト 「Stitch Fix(ステッチフィックス)」 の創業者でありCEOのカトリーナ・レイク氏と
ECの世界から英老舗セレクトショップ 「BROWNS(ブラウンズ)」のCEOに就いたホリー・ロジャース氏のインタビュー記事
「独自のパーソナライゼイションを追求 2人のCEOが語る小売りの未来とは?」
は正しく ファッション消費の未来、これからの10年 ファッション流通業界が取り組まなければならないことを示唆する内容で大変興味深く読ませていただきました。
特に共感した部分を引用、紹介させていただきますね。
まず、Stitch Fixはご存じでしょうか?
2011年アメリカで創業されたパーソナルスタイル提案ECサイト。
登録時、85の質問に答えた顧客の好みから、AIが700ブランドの中から商品を選定、その後、スタイリスト(人間)が補正したコーディネートアイテム5点(アウター、トップス、ボトムス、服飾雑貨)がパッケージで顧客の自宅に届くECファッションサービス。
顧客は気に入ったものだけを購入し、そうでないものはコメントをつけて返品するというものです。これを定期的に繰り返す中で顧客の選別行動に基づき、AIがその後の商品選定の精度を高めて行きます。
アメリカで 現在220万人の会員がおり、75人のデータサイエンティストがAIをメンテし、3400人のスタイリストが対応しており、年商1100億円 (粗利率44%)にまで成長し、この度、上場申請をしたそうです。
同社のCEO が語る ミッションは (以下 「 」内 引用)
「消費者から求められているのは自分にぴったりのジーンズがみつかること。 モールを一日中探し回りたいわけではなくて、快適かつきれいに見えるジーンズを見つけたいだけ」
「モールのいろんな店をさまよって、店員に買い物を助けてもらう今の形が将来まで続くわけがないし、30個ものブラウザを開いて何を買えばいいのか悩む行為もあり得ない。私には、どちらの行動も将来まで存続しているとはどうしても思えない。」
「(ファッション購買の未来は) 商品の大半はオススメ機能に基づいて購入されると思います。
(我々は)その人に完全にフィットするものは提供できないけど、その人に最適な1着を提供します。
将来的にはカスタムフィットを行うこともあり得ますが、すでに大量の服が流通していますからね。」
「データを理解し、顧客のニーズと在庫をうまくマッチさせることで在庫を効率的に回し、リスクを最小限に抑えている」
そして
「パーソナライゼイションという切り口から集めた情報を新たな顧客に当てはめることで成長を続けている。」
以上 「 」内 引用
「パーソナライゼイション」というと カスタムメイドに取り組む(作りたがる)会社が多いですが、その労力は結構大変なものですし、限界を感じてしまいます。
それよりは、すでに流通している商品の中から顧客の需要と在庫をマッチングする、大量の情報から、絞り込んで差し上げることによってショッピングのストレスを解消したり、時短によりライフタイムを有効に使っていただくことがソリューションにつながる
という点は筆者の専門分野である、在庫最適化や在庫コントロールのコンセプトに通じるものがあり、とても共感したものでした。
かつてはアナログでやっていたパーソナルスタイリストを AI(ロボット)とスタイリスト(人間)が協働で行うところにも未来を感じますね。
続いて オムニチャネルリテイリングを推進する英老舗セレクトショップ「BROWNS」。
「BROWNS」はイギリスをマーケットリサーチされる方にとっては定番の定点観測場所、
そこへ 百貨店、ラグジュアリーブランドを経て、ラグジュアリーブランドのECサイト「ネッタポルテ」の創業メンバーだった女性がCEOに着任して目下オムニチャネル対応で改革中。 そんな彼女のコメントです。
「(我々のゴールは)リアル店舗とオンラインストアの機能を統合して良い循環をつくること
例えば、顧客が自宅で欲しいものをウィッシュリストへ追加していく。
そのアイテムを店で試着するときに、顧客の専任スタッフはウィッシュリストを見てアイテムを事前に準備しておく。
さらには、顧客が選んだアイテムの他に、オススメのものも一緒に準備しておける。
そうやって、全部のテクノロジーやサービスを顧客満足度のために結集し、循環させることがゴールです。」
以上 「 」内 引用
これはまさしくリアル店舗をもつ企業がこれから5-10年内に実現しなければいけない最も重要なショッピングのシーンのひとつでしょうね。
生活者はファッションを買わなくなったのではない、お金がないわけでもない。
また、これまでさまざまなショッピングのストレスがたくさんのファッション消費を楽しめない方々を生んでしまったかも知れません。
ストレスなく、気の利いたファッションが的確に、時短とともに手に入るようになれば
まだまだファッション消費は活性化し、より多くの人に楽しんでもらえるものになるのではないか?
お2人のインタビュー記事を読んでいて、これからますます変わるショッピング環境にあわせて
まだまだビジネスチャンスはたくさんありそうだと感じたものでした。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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