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February 12, 2018

ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリラクシング(GLR)の働く女性のための新業態で考える ファッションストアの新部門開発のセオリー

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 1月25日の日経新聞や2月2日の日経MJにユナイテッドアローズ(UA)が展開するグリーンレーベルリラクシング(GLR)が働く女性に向けた品揃えに特化した新業態「Lurow GREEN LABEL RELAXING」を立ち上げることに関する記事が掲載されていました。

 既存のGLRの品揃えの中から通勤や職場でも使えそうな服・雑貨を切出し、3月1日のアトレ川崎(33.9坪)の1号店を皮切りに今後数店舗の出店を予定しているようです。

 UA社 プレスリリース ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング ウィメンズオンリーショップ「Lurow GREEN LABEL RELAXING」をスタート アトレ川崎に1号店新規出店


 これまで、業界のいろいろな新業態や大型化に伴う新部門導入のニュースリリースを目にして来ましたが、

 「うーん、これは厳しそう」というケースが多い中、

 今回の同ブランドのライン・ロビング型のスピンアウト業態は大きな伸び代を感じ、とても安心して見守れるなと思いました。
 
 ※ 念のため、「ライン・ロビング」とはある専門分野に特化して品揃えを豊富にすることによって、近隣の競合店から客層を奪うカテゴリー戦略のマーケティング用語です。

 その理由は2つあります。

 ひとつは

 以前当ブログでもTOKYO BASEのCITY(シティ)立ち上げに関連した記事をエントリーしましたが、

 TOKYO BASEが都心で働く女性に向けた服の新業態「シティ」をSPA方式で本格展開


・百貨店のキャリアブランドと

・働く女性をメインターゲットとするZARAが創造したマーケット

の間には意外と各ブランドが中途半端にしか攻めていない大きなマーケットがあると思っています。

 ユニクロが万人に受ける低価格良品質のベーシックのマーケットをおさえ、

 ZARAやH&Mといった外資ファストファッションブランドやGUなどが百貨店の半額以下で低価格トレンドファッションマーケットをおさえた後の

 残された数少ない巨大マーケットのひとつ と言っても過言ではないでしょう。

 TOKYO BASEのCITYは 都心駅ビルを中心にプライスポイント10000円超の、いわばUAのビューティアンドユース(BY)くらいの価格でそのマーケットを狙い、

 今回GLRのLUROW(ルロウ;輝く+成長を合わせた造語だそうです・・・)はその価格帯の下を潜り、

 おそらく従来のGLRのプライスポイントからすると・・・

 最多価格帯 7900円あたりで駅ビルと近郊SCを股にかけても通用する価格帯で提供するのでしょう。

 それゆえ、少なくとも、前者よりは大きな売上規模になるでしょうね。

 成功する可能性が高いと思う2つめの理由は

 今回の新業態は小売業が店舗の大型化やスピンアウト型の新業態に取り組む時に

 新しい部門(カテゴリー)導入を検討するにあたり、取るべきセオリーに則っていると感じるためです。

 そもそも、その企業、あるいはストアブランドの出自(出身)や、どんなビジネスからスタートし、どんなビジネスで儲けているかは、

 「企業(ブランド)体質」や「ビジネスモデル」という観点から無視してはならないことは言うまでもありません。

 その中で非常に大事な要素は、

 顧客の視点に立てば、取扱商品の「顧客購買頻度」という観点です。

 企業側の経営数値で言えば、それにほぼ近い数値で表れる「年間商品回転率」にも置き換えることができると思います。

 つまり、既存の取扱商品と比べて、新しい部門(カテゴリー)あるいはフォーカスする部門の
「顧客購買頻度」は相対的に高いのか低いのか?という視点です。

 購買頻度が高い方向に新部門開発をする時は、相対的に商品が良く回転するので、

 「これは売れる!儲かる!」という実感がすぐ得られるので上手く行き、

 その逆は、

 当初は新しい商品が入るので新鮮に感じるかも知れませんが・・・

 すぐに「上澄み」が取られ、既存商品と比べて

 「なんでこんなに売れないの?在庫が重い!」と感じ、シビレを切らして上手く行かないケースが多いように思います。

 このロジックから、これまでの業界の歴史の中で成功したと思う成功パターンをいくつか挙げると、

○ メンズやユニセックスカジュアル中心の店がレディースの取扱いを増やす

○ 古着を扱っていたカジュアル店が新品の取扱いを増やす

○ 紳士服を扱っていたところがカジュアルウエアに取り組む

○ 生活雑貨を中心に扱っていたストアが服の取扱いを増やす

○ レディスカジュアル中心のストアが職場にも着て行けるキレイめ服を増やす

○ 子供服を扱っているストアがママのカジュアル服の品揃えを増やす

などが挙げられるでしょうか。

具体例としては

 1つめはセレクトショップやユニクロ、2つめはユーズドミックス店、3つめはユニクロなど(旧ポイント社もそうですね)、4つめは旧トリニティアーツのニコアンドやスタジオクリップなど、5つめはニコアンドやグローバルワークなど、6つめはしまむらバースデイなどあたりでしょうかね。

 一方、上記の逆を行って、成功したという事例はほとんど聴きません。

 ここ数年の中で、上記のセオリーを無視して、上手くいかなかった事例はいくつもありますが、ひとつだけ挙げると・・・

 アパレル専門店が店舗大型化のため、ライフスタイル業態に転換しようとして、生活雑貨の品揃えを増やしたケースでしょうか。上記で言えば4番目の逆パターンを行った例です。

 もちろん 例外はあるでしょうし、ビジネスの成否は、最終的には

 経営者の辛抱強さと信念をもって取り組む人材によるところにつきます。

 ただし、顧客購買行動をベースにしたセオリーを無視した新部門開発は・・・無謀と言わざるを得ませんね。

 上記の2つの観点から、

 都心部や近郊の働く女性のマーケットは購買頻度も高いですし、比較的お金もかけます。

 ゆえに、ファミリーカジュアル業態で鍛えられたGLRの新業態は「スーツ屋さん」にならなければ・・・

 高効率業態として安心して成長が見込めるのではないか?と私は見ています。

 日頃いろいろな店舗を見ていて・・・商売人が多いなと感心することが多いGLRの取り組みに

 今後とも注目しております。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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