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February 26, 2018

店頭起点からオンライン起点へ~ビジネスのカギはお客様と店頭の間、入店前のオンラインにあり

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 2月23日の日経新聞一面に外食チェーン大手の日本マクドナルドが顧客がスマホで事前注文、決済もでき、入店と同時に注文内容がキッチンに伝わり、顧客の待ち時間を短縮するしくみの導入に関する記事が掲載されていました。

 記事によれば、2018年に一部店舗で実験を始め、2019年以降、日本で展開する2900店舗全店へ拡大するとのこと。

 人手不足、店舗の生産性向上、混雑緩和、顧客も待ち時間が短縮される、時短・利便性向上のスマートショッピングの取り組みです。

 昨年の夏に英ロンドンにマーケット視察に行った時の話ですが、宿泊ホテルの近くのマクドナルドでは

 入口とカウンターの間にあるタッチパネルで注文する仕組み(クレジットカードで決済可)と同時に

 スマホアプリで事前注文して店舗で受け取るクリック&コレクトのしくみが併用され、すでに導入済みでした。

 ネットを検索したところ、アメリカでも昨年、同様のしくみの導入が進んだようですね。

 米コーヒーチェーンのスターバックスコーヒーでも、アメリカで2015年から始まった「モバイルオーダー&ペイ」というアプリを使った事前注文&店頭ピックアップが買上全体の10%を超えたというニュースを読みました。日本でも導入が待たれますね。

 ファッション流通に目を移しても、日本の都心部のショッピングの近未来とも言えるロンドンでは・・・

 外食チェーンだけではなく百貨店や専門店でもクリック&コレクト(オンライン注文の店舗受け取り)は標準装備

関連エントリーロンドン視察から 日本でのクリック&コレクトの普及を考える

 「クリック&コレクト」(オンライン注文の店舗受け取り)と合わせて

 「スキャン&バイ」(店舗で気になった商品をスマホアプリでバーコードをスキャンして商品詳細情報を得たり、そのままオンラインで注文したり、在庫のある近隣店舗を表示する)

 に取り組むチェーンも増えているようです。

 日本では売上歩合家賃で儲けている商業施設とテナント(ブランドやストア)の利害が障害になって顧客の利便性、スマートショッピングは遅れがちです。

 力のあるユニクロ、ZARA、H&Mなどの大型チェーンではアプリを介してクリック&コレクトもスキャン&バイ(日本のH&Mではスキャン&ゲットと呼んでいます)とも導入済みのところも増えて来ましたがね。

 これまで小売業は「店頭起点」という言葉で業務改革を行って来ましたが、

 いまや、スマホでの情報収集から始まるお買いものは・・・お客様と店頭の間のオンラインで始まる時代です。

 ビジネスのカギは・・・店頭を越えてお客様と店頭の間、入店前の「オンライン起点」にどう業務の焦点と軸足を移せるか?がポイントになりそうですね。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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February 19, 2018

ZOZOTOWN(ゾゾ)が米STITCH FIX の日本版「おまかせ定期便」のサービスをスタート ~パーソナルスタイルサブスクリプションサービスの課題と未来

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 ZOZOTOWNが2月15日から 米STITCH FIX(スティッチフィックス)の日本版と言える サブスクリプション型のオンラインパーソナルスタイリングサービスである「おまかせ定期便」のサービスをスタートしましたね。

これは顧客の性別、年齢、身長、体重、テイスト、好みに関するアンケート、良く買うブランド、主要サイズ(肩幅、バスト、ウエスト上下、ヒップ、股下)などを入力することで、スタイリストが選んだ5-10点の商品が1ヵ月、2ヵ月、3か月の頻度で送られてくるもので、気に入らない商品は無料で返品できるというオンラインパーソナルスタイリングサービスです。

スタートゥデイ社のプレスリリースでは

 服を選ぶのが面倒 ゆっくり服を選ぶ時間がない、似合う服がわからない などのお悩みが解消され、
 多くの方々にファッションをお楽しみいただける
 自分専属のスタイリストを持つような新しい体験

というようなフレーズで告知しています。

 ZOZOに関連する過去のブログエントリー 
 いよいよ年内発売開始、ZOZOTOWNのプライベートブランド(PB)の概要が徐々に明らかに

 でも触れましたが、ZOZOが、コーディネートが得意な販売員を大量募集していたので・・・米STITCH FIXの日本版を始めるのではないかと思っていましたが、早々に始めて来ましたね

 これは顧客の身体ヌードサイズを正確に計測するZOZOSUITを既存ビジネスに活かす手段のひとつだと思いますので、とても興味深いです。

 ご存じのない方に、米STITCH FIX(SF社)を簡単にご紹介すると 

 2011年に日系アメリカ人であるカトリーナ・レイク氏によって立ち上げられたサブスクリプション(定期購入)型のパーソナルスタイリストサービスで、

 多くのアンケート項目に基づき、コーディネートされたアウター、トップス、ボトムス、雑貨 計5点が定期的に送られてくるもので、気に入ったモノだけを購入し、要らないものは返品できるというサービスです。全部返品すると$20のスタイリング料がチャージされる、すべて購入すると25%OFFになります。

 AIがアンケートや購入後のコメントに基づき同社の在庫から5点以上のトータルコーディネートできるアイテムを選定し、人間のスタイリストがそれに補正を加えるという、「AIと人間のコラボ」というところに未来を感じ、非常に興味を持っていたビジネスモデルでした。

 当初はアナログに近いオペレーションでスタートした同社も、AIに明るい共同経営者や投資家が加わり、急成長、現在 全国220万人の顧客、75人のデータサイエンティスト、3400人のスタイリストを抱え、年商1100億円を上げ、2017年11月にナスダクに上場した世界のファッションテック業界の注目株です。

 Stitch Fix

 アメリカではたくさんの奇抜なアイデアを持ったベンチャー企業が生まれ、メディアが過剰に騒ぎすぎるきらいがありますが・・・

 正直、まだ規模が大きくないものをどう評価するべきかわからないものも、たくさんあります。

 その中で、1000億円規模になった同社は立派なビジネスとして評価するに値します。

 SF社のサービスを知っていただければわかるように、ZOZOのおまかせ定期便サービスは その日本版と言ってもよいでしょう。

 AmazonFashionより先に始めたのは流石、前澤さんのフットワークです。 

 そして、ZOZOSUITが実際に配られれば更にその精度が高まりますね。

 ただ、このサービスの課題として想定しなければならないのは、ネットを検索していると、この素敵に見えるSF社のサービスの課題を指摘する顧客購買行動に関するデータがあることです。 

 それによると、定期購入者の客単価(一回あたりの購買額)が、回数が進むにつれて下がるという傾向が指摘されていることです。ですから、いかに新規顧客をたくさん獲得するかが成長のカギだと。

 これは筆者の推測ですが、当初、思いがけない商品パッケージが来てワクワクするのに対し、

 その後、顧客の好みを聴けば聞くほど(AI、アルゴリズムの精度が高ければ高いほど)・・・

 新鮮味がなくなり、飽きてくるという心理が働くからかも知れません。

 このあたり、過去データをベースにするAIの限界かも知れませんので、ここにちょっとしたサプライズを演出できるかどうかが今後の成功のカギなんでしょうね。

 筆者もリアル店舗で接客を受ける時、せっかく店舗スタッフさんが自分に似合いそうな色や柄を提案してもらっても、結局は100枚持ってそうなアイテムの色、柄を選んでしまいがちな自分がいます。

 でも、自分じゃ選ばないなというアイテムや柄や色を紹介してくれるからこそ、ちょっとワクワクするのかも知れませんよね。

 もし、自分の好みだけで選んでいたら、コンサバから抜け出せないし・・・

 今は筆者のトレードマークのひとつになっているポケットチーフを入れ始めることもしなかっただろうし、黒を着ることもなかったかも知れないし・・・そこそこの金額を購入しているスキンケア系だってあるコスメ店の店頭でのインプットが無ければしなかったかも知れません。

 そのような新しい提案はリアルの人間にしかできないことではないでしょう。

 顧客の好みに合わせ続けるだけではなく、ダメだしされようが、半歩先あるいはちょっとしたチャレンジにつながる サプライズを提案してくれたら 飽きることなく、もっとファッションを楽しめるのかも知れませんね。 

 AIがそこまで進化してくれたら大したものです。どんな未来情報を加味するかだと思いますが、そんな未来に期待しましょう♪

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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February 15, 2018

アマゾン・ドットコムの2017年度決算は大幅増収増益も通販事業は営業赤字

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 今年2018年は2008年から始まるファストファッションブームから10年目にあたるファッション流通の節目の年。

 もう数年前から変革は起こり始めていますが、これからもマーケットや購買行動の激変をリードするのはAmazonやZOZOなどのオンライン起点の企業であることは間違いなさそうです。

 1月19日のエントリー アマゾンと小売りの未来~あらためて考えるアマゾン・エフェクト 

 でもアマゾンドットコムの損益構造に触れましたが・・・

 2月1日にリリースされた 同社の2017年度の決算発表書類に目を通す機会がありましたので、

 過去4年間の時系列収益数値を共有させていただきたいと思います。
 
 米アマゾン・ドットコム社の4年間時系列 事業別売上高&営業利益(本業の儲け)
 (単位10億円 $=120円換算)

◆売上高 2014 2015 2016 2017 前年比
北米 6,100 7,645 9,574 12,733 133%
インターナショナル 4,021 4,250 5,278 6,516 123%
通販事業計 10,121 11,895 14,852 19,249 130%
AWS 557 946 1,466 2,095 143%
合計 10,679 12,841 16,318 21,344 131%
◆営業利益 2014 2015 2016 2017 前年比
北米 43 171 283 340 120%
インターナショナル -77 -84 -154 -367 239%
通販事業計 -34 87 129 -27 -21%
AWS 55 181 373 520 139%
合計 21 268 502 493 98%
◆営業利益率 2014 2015 2016 2017 前年差
北米 0.7% 2.2% 3.0% 2.7% -0.3%
インターナショナル -1.9% -2.0% -2.9% -5.6% -2.7%
通販事業計 -0.3% 0.7% 0.9% -0.1% -1.0%
AWS 9.9% 19.1% 25.4% 24.8% -0.6%
合計 0.2% 2.1% 3.1% 2.3% -0.8%

 いよいよ世界で年商20兆円を超えたアマゾンの儲け=営業利益は 

 北米の通販事業でも営業利益率がわずか2.7%

 それを日本も主力のひとつであるインターナショナル通販事業の年々拡大する赤字(2017年は-5.6%相当)で打ち消して

 世界の通販事業合計では営業赤字。

 一方、急拡大で売上を伸ばし、売上シェア10%のAWS(クラウドレンタルサーバー)事業は25%の営業利益率で、同事業のみで会社の全体の利益を上げているという状態で・・・

 売上の90%を占める通販事業は米国では薄利、海外では赤字でも手を尽くしてシェアを拡大し、別事業(AWSクラウド事業)で儲けてその薄利をカバーしているという構図はここ数年変わりません。

 新聞紙上では売上高も税引き後利益もそれぞれ約30%の増収増益であるところを強調しますが・・・

 税引前では減益ですし、通販事業が赤字であることはあまり強調して報道されませんよね。

 既出のエントリーでも述べたことを繰り返しますが、

 アマゾンは通販の利益は度返しで、

 消費者を品揃えの豊富さ、価格の安さ、サプライズなサービスを次々に繰り出し、期待をどんどん高め・・・

 既存流通企業の品揃えやサービスの旧態依然さ、陳腐さを浮き彫りにし、後手を打たせ、

 競合を業績不振に追い込み、次々に駆逐し、そのサービスの優位性で消費者を益々自社の通販サイトに引き込み・・・

 利益よりも多くの顧客購買データを収集することを優先するという戦略を持った企業なんですよね。

 もちろん 把握した消費者購買行動データから次の手を繰り出すための投資を繰り返し、事業規模を拡大するが目的にあるわけです。

 その点からすると、これまで流通革新を起こして勝ち組と呼ばれて来た企業、

 低価格衣料の品質の常識を変えたユニクロにしても、

 トレンドファッションの価格の常識を変えたZARAやH&Mなどの外資ファストファッション企業にしても、

 彼らは本業で儲ける、営業利益をしっかり10%以上稼ぐことを前提にした

 同じ流通業者による「革新(イノベーション)」であったのと比べると

 流通業者ではなく、グローバルプラットフォーマーという異次元の立場から、利益度返しのアマゾンはある意味、掟破りであり・・・

 それゆえに、より強敵で、対応しようと思って同じ土俵に上ろうものなら・・・

 ほとんどの企業は利益は出せない、ということになるのです。

 そんな違った発想を持った企業のサービスと比較される既存の流通企業はどんな立ち位置で商売をするのか?

 これからは、正しくそれが問われる5年、10年になりそうですね。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
 
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February 12, 2018

ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリラクシング(GLR)の働く女性のための新業態で考える ファッションストアの新部門開発のセオリー

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 1月25日の日経新聞や2月2日の日経MJにユナイテッドアローズ(UA)が展開するグリーンレーベルリラクシング(GLR)が働く女性に向けた品揃えに特化した新業態「Lurow GREEN LABEL RELAXING」を立ち上げることに関する記事が掲載されていました。

 既存のGLRの品揃えの中から通勤や職場でも使えそうな服・雑貨を切出し、3月1日のアトレ川崎(33.9坪)の1号店を皮切りに今後数店舗の出店を予定しているようです。

 UA社 プレスリリース ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング ウィメンズオンリーショップ「Lurow GREEN LABEL RELAXING」をスタート アトレ川崎に1号店新規出店


 これまで、業界のいろいろな新業態や大型化に伴う新部門導入のニュースリリースを目にして来ましたが、

 「うーん、これは厳しそう」というケースが多い中、

 今回の同ブランドのライン・ロビング型のスピンアウト業態は大きな伸び代を感じ、とても安心して見守れるなと思いました。
 
 ※ 念のため、「ライン・ロビング」とはある専門分野に特化して品揃えを豊富にすることによって、近隣の競合店から客層を奪うカテゴリー戦略のマーケティング用語です。

 その理由は2つあります。

 ひとつは

 以前当ブログでもTOKYO BASEのCITY(シティ)立ち上げに関連した記事をエントリーしましたが、

 TOKYO BASEが都心で働く女性に向けた服の新業態「シティ」をSPA方式で本格展開


・百貨店のキャリアブランドと

・働く女性をメインターゲットとするZARAが創造したマーケット

の間には意外と各ブランドが中途半端にしか攻めていない大きなマーケットがあると思っています。

 ユニクロが万人に受ける低価格良品質のベーシックのマーケットをおさえ、

 ZARAやH&Mといった外資ファストファッションブランドやGUなどが百貨店の半額以下で低価格トレンドファッションマーケットをおさえた後の

 残された数少ない巨大マーケットのひとつ と言っても過言ではないでしょう。

 TOKYO BASEのCITYは 都心駅ビルを中心にプライスポイント10000円超の、いわばUAのビューティアンドユース(BY)くらいの価格でそのマーケットを狙い、

 今回GLRのLUROW(ルロウ;輝く+成長を合わせた造語だそうです・・・)はその価格帯の下を潜り、

 おそらく従来のGLRのプライスポイントからすると・・・

 最多価格帯 7900円あたりで駅ビルと近郊SCを股にかけても通用する価格帯で提供するのでしょう。

 それゆえ、少なくとも、前者よりは大きな売上規模になるでしょうね。

 成功する可能性が高いと思う2つめの理由は

 今回の新業態は小売業が店舗の大型化やスピンアウト型の新業態に取り組む時に

 新しい部門(カテゴリー)導入を検討するにあたり、取るべきセオリーに則っていると感じるためです。

 そもそも、その企業、あるいはストアブランドの出自(出身)や、どんなビジネスからスタートし、どんなビジネスで儲けているかは、

 「企業(ブランド)体質」や「ビジネスモデル」という観点から無視してはならないことは言うまでもありません。

 その中で非常に大事な要素は、

 顧客の視点に立てば、取扱商品の「顧客購買頻度」という観点です。

 企業側の経営数値で言えば、それにほぼ近い数値で表れる「年間商品回転率」にも置き換えることができると思います。

 つまり、既存の取扱商品と比べて、新しい部門(カテゴリー)あるいはフォーカスする部門の
「顧客購買頻度」は相対的に高いのか低いのか?という視点です。

 購買頻度が高い方向に新部門開発をする時は、相対的に商品が良く回転するので、

 「これは売れる!儲かる!」という実感がすぐ得られるので上手く行き、

 その逆は、

 当初は新しい商品が入るので新鮮に感じるかも知れませんが・・・

 すぐに「上澄み」が取られ、既存商品と比べて

 「なんでこんなに売れないの?在庫が重い!」と感じ、シビレを切らして上手く行かないケースが多いように思います。

 このロジックから、これまでの業界の歴史の中で成功したと思う成功パターンをいくつか挙げると、

○ メンズやユニセックスカジュアル中心の店がレディースの取扱いを増やす

○ 古着を扱っていたカジュアル店が新品の取扱いを増やす

○ 紳士服を扱っていたところがカジュアルウエアに取り組む

○ 生活雑貨を中心に扱っていたストアが服の取扱いを増やす

○ レディスカジュアル中心のストアが職場にも着て行けるキレイめ服を増やす

○ 子供服を扱っているストアがママのカジュアル服の品揃えを増やす

などが挙げられるでしょうか。

具体例としては

 1つめはセレクトショップやユニクロ、2つめはユーズドミックス店、3つめはユニクロなど(旧ポイント社もそうですね)、4つめは旧トリニティアーツのニコアンドやスタジオクリップなど、5つめはニコアンドやグローバルワークなど、6つめはしまむらバースデイなどあたりでしょうかね。

 一方、上記の逆を行って、成功したという事例はほとんど聴きません。

 ここ数年の中で、上記のセオリーを無視して、上手くいかなかった事例はいくつもありますが、ひとつだけ挙げると・・・

 アパレル専門店が店舗大型化のため、ライフスタイル業態に転換しようとして、生活雑貨の品揃えを増やしたケースでしょうか。上記で言えば4番目の逆パターンを行った例です。

 もちろん 例外はあるでしょうし、ビジネスの成否は、最終的には

 経営者の辛抱強さと信念をもって取り組む人材によるところにつきます。

 ただし、顧客購買行動をベースにしたセオリーを無視した新部門開発は・・・無謀と言わざるを得ませんね。

 上記の2つの観点から、

 都心部や近郊の働く女性のマーケットは購買頻度も高いですし、比較的お金もかけます。

 ゆえに、ファミリーカジュアル業態で鍛えられたGLRの新業態は「スーツ屋さん」にならなければ・・・

 高効率業態として安心して成長が見込めるのではないか?と私は見ています。

 日頃いろいろな店舗を見ていて・・・商売人が多いなと感心することが多いGLRの取り組みに

 今後とも注目しております。

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February 05, 2018

プラットフォーマーをめざす専門店のEC戦略

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 1月31日の日経新聞にアースミュージック&エコロジーなどを展開するストライプインターナショナルがソフトバンクと共同出資で他社ブランドも販売するECモール「ストライプデパートメント」を立ち上げる記事が掲載されていました。

 記事によれば同ECモールには、百貨店を主力に展開する大手アパレル 三陽商会 レナウンなどを含む企業からの出品が決まっているようで、参加ブランドは数百ブランドにのぼる見込みとのこと。 

 ストライプ社にはZOZOTOWNのライバルになるというよりは・・・より大人(30代後半以上)のマーケットを狙って棲み分けを図る意図があるようです。

 一方 ヨーロッパに目を向けると・・・

 デジタル戦略に遅れをとり 2017年11月期 近年にない微増収減益の決算に終わったH&Mが 

 H&Mグループのブランドとスウェーデンのローカルブランドやインターナショナルブランドの商品をディスカウントプライスで実店舗とオンラインの両方で販売するオフプライスストア型のマーケットプレイス業態 AFOUND(アファウンド)を立ち上げるようです。 

 AFOUND – AN INNOVATIVE OFF-PRICE MARKETPLACE – LAUNCHES IN 2018

 こちらは、定価販売のECモールではなく、在庫消化目的のアウトレットであり、ブランドのディスカウントを切り口に別のマーケットの需要を取り込もうというものです。

 もしかしたら、イギリスで拡大中のアメリカのオフプライスストアの巨人、T.J.maxxグループのT.K Maxxへの対抗措置でしょうか。

 T.K Maxx


 これまで、EC戦略、オムニチャネル戦略と言えば、ECモールへの出店から始まり、自社ECを強化して実店舗との相乗効果を図る流れが主流でしたが・・・

 いよいよ中長期戦略を採る大手ファッション専門店の中から、

 独自で構築した店舗、物流、ITのインフラを活かして、自らが自社ブランドだけではなく他社ブランドも販売する AmazonやZOZOのようなECモールやマーケットプレイスづくりを目論む、いわゆる「プラットフォーマー」志向の企業が現れ始めましたね。

 今後このような動きはAmazonやローカルの競合ECモールに対抗して、世界各国で大手企業を中心に活発になってくるように思います。

 海外の先行事例としては、イギリスのNEXT(ネクスト)が挙げられます。

 同社は世界アパレル専門店ランキング第9位(イギリスでは2位) 日本円で5800億円規模(2017年1月期)の年商の、柳井さんがユニクロを立ち上げる時のモデルのひとつでもあったイギリスの老舗SPAですが・・・

 世界アパレル専門店売上ランキング2016 トップ10

 早く(1999年)からECに取り組み、現在ではEC売上高比率42%を誇り、EC売上のうち12%は同社と競合しない著名インターナショナルブランド含む約100ブランドを販売しています。

 NEXTと一緒に注文して、宅配はもちろん、店舗で受け取る(=クリック&コレクト)ことも可能なインフラを整えています。

 NEXT社は英国内500店舗超の店舗網、独自の物流網を活かして、

 深夜12時までに注文した商品を翌日の昼の12時以降に顧客が指定する店舗で受け取る

 「クリック&コレクト」網を敷いているオムニチャネル戦略の先進企業で、

 筆者はイギリス同様、成熟マーケットとなった日本のチェーン店がベンチマークすべき事例のひとつだと思っています。

 日本の最大手である ユニクロはEC売上を行く末は売上比率30%まで高めるため、アクセルを踏み、

 国内2位のしまむらはこれからのようですが、

 目先の自社ECの強化やECモールへの出店の取り組みもよいですが・・・

 いっそのこと、NEXTのように、その先を見越して、プラットフォーム事業者を兼ねることを視野に入れて、未来からの逆算方式で中長期戦略を組まれるべきなんでしょうね。 

 ユニクロやしまむらのような店舗網 物流網を持った企業は日本国内でもそうないと思いますので、

 そのアドバンテージは活かすべきでしょう。 

 先日、楽天がウォルマート(西友)と組みましたが、

 しまむらともクリック&コレクトで組んだら楽天ポイント大好きな主婦層との相乗効果抜群で、とても相性がよいと思うのですが、いかがでしょうかね?

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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