しまむらがZOZOTOWNに出店。 両社のメリットとその先の狙いは?
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6月27日の日経MJなどにファッションセンターしまむらを展開するしまむらが7月9日(月)にZOZOTOWNに出店することに関する記事が掲載されていました。
しまむらの粗利率(売上総利益率)は例年32~33%。
これを持ち前のローコストオペレーションにより、
23~24%の低い販売管理費率に押さえ
9%前後の営業利益率を上げている企業です。
一方、ZOZOの販売手数料は
単価が高く、売上ランキング上位クラスの取引が太いブランドでも売上高の20%台前半、低単価のブランドでは35%以上のようですので・・・
低粗利率とローコストオペレーションを武器にするしまむらのZOZO出店は難しいのではと見ていましたが・・・
まあ、販売手数料が25%前後であれば・・・
しまむら側もZOZO側もビジネスが成り立たないわけではないので、どこかで折り合いをつけた模様です。
両社が組むメリットを少し考えてみました。
まず、しまむらのメリットです。
業界の多くのブランドのEC売上の6割~7割のシェアを占める、
業界でもっとも売れるECモール=ZOZOTOWNに出店し、
後発と言われるしまむらが、今オンラインで何が起こっているのかをスピード体験できる。
地方、郊外に店舗が多いしまむらでお買い物をしたことがない、都心部の客層にしまむらの商品を手に取ってもらえる。
しまむら未経験者からすれば安いけど、試してみれば品質がいいことに驚くでしょう。
次にZOZOのメリットです。
しまむらが得意とする地方、郊外立地の客層、特にティーンズとZOZO客層よりも年齢の高い主婦層にリーチ出来る。
特に客数という意味では、日本のファッション専門店の中ではユニクロとしまむらはダントツに多いですからね。
客単価は低いかも知れませんが、新規顧客大量獲得のメリットは大きいでしょう。
最近ZOZOがとみに増やしている楽天などから流入した低価格帯の商品群を好む客層に新たな選択肢が生まれることになるでしょう。
とは言え、おそらく両者の取り組みはお互い様子見というところでしょうか。
しまむらも損益の関係から粗利率の高めのオリジナル商品から始めるので…
当初は限定的な取り組みになりそうですね。
しかし 日本のファッション流通業界の中で最多クラス、
「ファッションセンターしまむら」だけで1,400
グループ合計で2,000を越える国内店舗網と全国の店舗にほぼ毎日商品を届ける独自のトラック物流網は業界随一間違いないしまむらグループ。
ZOZOで注文した商品がしまむらの物流網にのせて全国の店舗で受け取れるとか、返品受付できたら・・・
東京や関西の都市部にはまだ、しまむらの店舗はあまりありませんが、
地方や郊外立地の客層には何かしらのメリットを生み出せるのでないか?
と思いますがいかがでしょうかね。
「EC後発のしまむらがいよいよファッションモールに出店」というニュースよりも…
ファッションEC国内最大のZOZOTOWNと
ファッション流通国内最大級の店舗網と物流網を持ったしまむらが
ECモール運営者と出店ブランドの関係だけでなく
その先の取り組みを行う可能性については、とても興味があります。
両社がそんな共通の利害を見出し・・・ そんな話も視野に入れて交渉を始めていたら、
流通が変わる結構、面白いことになると思うんですがね・・・
関連エントリー-しまむらが2018年からネット通販を開始 独自の物流網をどう活かせるか?
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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