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8月1日の日経MJに 6月29日からの1回目と7月27日からの2回目にわけた百貨店の夏のセールに関する記事が掲載されていました。
台風の影響も認めながら、7月の売上が前年割れしていることで、特に顧客の認知度(2回目があること)が低かったことで、2回目のセールがいまひとつ盛り上がらなかったと記事はまとめていました。
このセールを2回に分ける施策は、アパレルメーカーからの要請で日本百貨店協会が動いた初の試みのようです。
5月の後半から展開を始めるいわゆる盛夏ものの本格的な需要が、
梅雨が明け、ちょうど従来のバーゲン時期(6月末から7月初旬)と重なることから
これまで十分な定価販売期間が取れなかったことを鑑み
1.従来のセール(6月末~7月初旬)は 3月末~4月にかけて発売された「初夏もの」のセール&売切りに当て、
2.ゴールデンウィーク明けから販売スタートした盛夏ものの値下げは、2ヵ月間の販売経過後にあたる7月後半に
という発想からの夏のセールの2分割だったようです。
これ、実は、体感温度に基づいて装いを替える消費者の行動からすると、全く正しいことなんですがね。
認知度が低かったこともそうですし、周りの駅ビル、SC、ファッションECモールのセールや値下げの前倒しやクーポン乱発の常態化からすると、
正論を貫き通すのには乗り越えるべきハードルがたくさんある、ということなのでしょう。
在庫最適化の視点から、これまで多くのファッション専門店さんの品揃え計画を支援している立場から常々思うことは
従来は年間13週ずつと考えられていた春夏秋冬の4つのシーズンの中で、
近年の気温で考えると夏と冬 特に夏がかつての常識から考えるととても長くなっているなと感じることです。
おそらく、気温からしたら、1年の半分にあたる6ヵ月は夏シーズンと言っても言い過ぎではないのではないかと、
そうすると、店頭の鮮度を保ち、定価販売するにしても、売り切るにしても、
従来のマーケットの(というか業界の)常識とは違う、「長い夏」対策は必要ですよね。
ZARAやH&Mが気温帯の違う地域へのグローバル展開にあたり、
日本の常識から考えると夏物っぽい商品や通年素材が1年を通じてたくさんあり・・・
重ね着スタイリングを展開してカバーしようとしている理由も合点がいきます。
また、日本のSPAでも、成果を上げているブランドさんはアウターの冬に頼り切らず、
夏シーズンを細分化してきめ細かく対応しているところだと思いますよ。
もっとも、バーゲンはある意味、国民的集客イベントなので、商売柄そのタイミングを活用しない手はないでしょう。
ただ、ちょっとくらい日にちを離して連発するのはわかりづらく、しっかりと伝えないと理解は得られづらいかとも思います。
一方、気温(体感温度)の変化のタイミングと世の中の集客イベント時期はしっかりチャンスを活かしたいところです。
いずれにしても・・・
まずは、バーゲンや値引き販売やクーポン割引を前提とした価格設定から抜け出して、
値引きなしでも、いつも顧客バリュー=適品、適時、適価を実現して提供できるようにならないと
ますます顧客の支持も得られなし、利益を残せない時代になりますね。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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