【アメリカ西海岸リサーチその3】わざわざ店舗に足を運ぶ理由~オフプライスストアの掘り出し物探しの楽しみ
今回アメリカ西海岸にはストアのデジタル化をメインに見に行ったのですが、それ以外の目的のひとつにオフプライスストア視察がありました。
アメリカでAmazonがグングン売上を伸ばし、小売シェアを高める中でも・・・
着実に売上を伸ばし、高い営業利益率を上げているのがオフプライスストアというチェーンストア業態です。
以前も何度かブログでご紹介しましたが
オフプライスストアとは
ブランドメーカーや小売業の過剰在庫を買い取って常時ディスカウントで販売しているチェーンストアです。
関連エントリー - 全米で好調を続けるオフプライスストア、TJマックス
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GAPやアメリカンイーグルやフォーエバー21などのSPAとの差別化は
名の知れたブランドがいつも安く売られているので
ブランドの名のもとに品質の保証されたものが安く買える
またシーズン通して多数のバイヤーが常時過剰在庫を買いつけて新しいディスカウント品を次々に投入してくるため、いつ行っても何かしら掘り出し物が見つかる可能性があり、
つい立ち寄ってしまうお店になっているようです。
そして、ブランドのアンダーウエアなどは安く、サイズが常に揃っているので実用衣料の購入先という観点でも使い勝手がよいのです。 (このあたりはメーカーが安定供給している可能性大)
オフプライスストアには大きくわけて2つのタイプがあるようです。
ノードストロームのノードストロームラックと
サックスフィフスアベニューのOFF5TH
もうひとつは専業系で
TJMaxx 、ROSS、Burlington など があります。
あらためて調べてみましたが
店舗数は
TJXグループ 2956店舗 ROSS 1622店舗 Burlington 641店舗
ノードストロームラック 235店舗、OFF5TH 129店舗 計 5583店舗
売上高は(米国のみ)
TJXグループ 2兆9773億円、ROSS 1兆5000億円 Burlington 6647億円
ノードストロームラック 5392億円 OFF5TH 非公開 推計 5兆8000億円
なんとこの5社だけでアメリカのアパレルマーケットシェアの14% 相当あるのですね。
また、ノードストロームラックはノードストローム社の売上の33%を占め
TJX、ROSS それぞれの営業利益率は13.3% 14.4%と チェーンストアの中でも極めて高水準。
(粗利が低く、販売管理費が極めて低いディスカウンンターモデル)
今回あらためて視察の上 価格表示を比較したところ
百貨店系はハイブランドがOFFで買え
専業系はOFF率というよりは
TJMaxx が$19.99 ROSSが $12.99など
プライスポイント(最多価格帯)を明確にしてわかりやすい、顧客を迷わせない価格設定をしていることに気づきました。
筆者は90年代アメリカ カリフォルニア州在住時はオフプライスストアで普段着用にサーフブランドをよく購入していましたし、
日本に帰国後、アメリカ出張時はカルバン・クラインのアンダーウエアの買い足しによく利用していたのですが、
今回 ノードストロームラックの靴、ビジネスシャツの充実、TJmaxxのアンダーウエア、ソックスの充実、この2つがあれば
こだわりのファッション商品以外はファッションライフスタイルはほぼ賄えてしまうのではないかとさえ思いました(笑)
恐ろしや~ やはりオフプライスストアがユニクロの米国拡大を阻む最大勢力と確信しましたね。
アパレル在庫が大量に余っているはずの日本のファッション流通
なぜ こんなに消費者にとってありがたい業態が日本で普及しないのかを考えてみました。
やはり商品を買い取らないけどブランド価値を毀損すると考える百貨店さんの存在が大きいのでしょうかね。
アメリカでは百貨店でも買い取りが基本なので
百貨店が自らオフプライスストアに取り組んでいます。
しかも高級百貨店である ノードストロームは昔からです。(ノードストロームラック1号店は1975年開業)
日本でも郊外にあるアウトレットモールの出店が飽和になり、
オンラインがアウトレットとしてで処分販売進んでますが・・・
都心に人口が集中し、インバウンド需要も増えれば都心部でのブランドディスカウントの需要はますます高まります。
近年 アメリカの都市部でもノードストロームラックやTJmaxxが増えているのが目につきます。
今回のシアトル視察では・・・
ノードストロームの本店の横にオフプライスのノードストロームラックがあり、
同じ建物の上にライバルであるはずの OFF5TH が入居し、
地下には百貨店価格の半額でトレンドファッションを提供するZARAが入っていました。
(ZARAはアメリカでいい立地を見つけましたね♪)
また、その数ブロック、ダウンタウン側にはROSSとTJmaxx の店舗があります。
シアトルという都会のど真ん中に百貨店、ショッピングセンター、ファストファッション、オフプライスストアが密集するエリアがあることに少し驚きながら、
いやいや、これは東京や大阪や名古屋の近未来図のような気もしないではありませんでした。
日本では
ドンキホーテのようなディスカウンターがブランドOFFの取扱いを増やすことは十分考えられますし、
セカンドストリートのようなリサイクル店がメーカー新古品買い取りを増やして参入する?
あるいは、オンラインに巨大なオフプライスストアモールが出来て、そこがリアル店舗を展開する?
なんてこともあり得るかも知れません。
日本のアパレル市場も そんなマーケット環境に近づいているかも知れない、と思うのは
きっと私だけではないと思います。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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