オフプライスストアは日本で拡大するのか?
12月19日にファッションスタディーズさんとワールドさんの共同で開催されたトークセッション
「ファッション産業のロスをどう削減するのか?『オフプライスストア』の可能性」
に登壇させていただきました。
※「オフプライスストア(OPS)」:ブランド品の過剰在庫を買い取って常時ディスカウントプライスで販売するチェーンのこと。
お相手は株式会社ワールドとオフプライスストア「&ブリッジ」を立ち上げられた、株式会社ゴードン・ブラザーズ・ジャパンの原田宜和さんでした。
筆者からは、
在庫最適化の専門家の立場と
90年代のアメリカ在住経験、そして、それ以降もアメリカ出張時には頻繁に利用していた
ヘビーユーザー、オフプライスストアの大ファンの立場から
オフプライスストアの概要を18年の現地取材時の画像を交えてご紹介し、
ゴードン原田さんからは「&ブリッジ」事業の概要と目的、仮説検証中の事柄についてお話をいただきました。
オフプライスマーケットはアメリカでは大手5社の売上だけでも、アパレル市場規模の推定15%、6兆5000億円を超える巨大マーケット。
最大手のTJXは年商3兆円を超え、2番手のROSSも1兆円を超える、
ファッションコモディティマーケットの一翼を担う、消費インフラと言ってもよいでしょう。
ブランドの過剰在庫のはけ口であるとともに・・・
安定供給されているのではないか?と思えるような専売品的な商品も並びます。
特にビジネスシャツ、アンダーウエア、アクセサリーなどです。
また、値下げ価格表示は
百貨店が運営するNORDSTORM RACKやOFF 5THでは
ハイブランドの定価から40%-70%OFFなどOFF率値下げが目立ちますが、
オフプライス専業であるTJ MaxxやROSSでは
$19.99や$12.99など
消費者がいくらで買えるのかの価格で表示するプライスポイント戦略を取っています。
つまり、
1)宝物探しの楽しみと
2)プライスポイントが明確なこと(大体いくらくらいで買える店なのか)
3)日頃のコモディティアイテムの購入のあてになる品揃え
4)安価な気の利いたアクセサリーもある
ことが、完成形なんだろうな、と思います。
今年、日本で始まった実験は、まだ
リユースショップが新品商品の取り扱いに発展した形であったり、
アウトレットの延長線上にしか見えません。
アメリカのように、
「非日常」であるアウトレットモールを
いかに「日常」の生活圏の中で、ファッション消費の選択肢の1つにできるかどうか?
そのあたりがブレイクスルーのカギになるのだろうなと思っています。
来春は本命となりそうな大手流通企業も参入するということなので、どのような切り口で攻めてくるのか
楽しみにしておきましょう。
【オススメ本】アメリカ・欧州で進む更なる低価格化の波の中で、オフプライスストアについても解説しています。
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