百貨店アパレル大手、レナウンが民事再生法を申請
東証一部上場の老舗アパレル企業、レナウンが15日に民事再生法を申請し、
そのニュースは、週末から、業界のみならず、経済界を駆け巡りました。
厳密に言うと、同社自身ではなく、債権を持つ、子会社が申請したことや、
中国の親会社の役員による不服申し立ての可能性もあり、
民事再生法適用、スポンサー探しにあたっても、複雑な事情があることが日経新聞に詳しく書かれています。
かつて、ベストセラーになったビジネス本「誰がアパレルを殺すのか」の主旨は、
①百貨店アパレルのライセンスビジネス依存と
②商慣習である委託販売(その後、消化仕入)によって、在庫所有権者自身(アパレル)が在庫および損益をコントロールしづらい構造が
90年代以降、百貨店および百貨店アパレルを時代遅れにし、ダメにした、とブログ筆者は読み取りましたが・・・
そのビジネスモデルによって日本一のアパレル企業であった、という過去の成功体験が強すぎて、
最もそこから抜け出せなかったメーカーの一つがレナウン社だったのではないか?と思います。
拙著「アパレル・サバイバル」(2019年2月)でも述べましたが、
90年以降、ファッションビジネスのカギとなる現場は
バイヤーと営業の商談の場(百貨店、量販店時代)から
2000年代には直営店の店頭(SPA、ファストファッション時代)へと移り、
今や、顧客のスマホの中(デジタルシフトの時代)にある
というように、10年単位で顧客行動とビジネスモデルを見直さなければならなかった、
ファッション流通市場が変貌した今となっては、再生はそう簡単ではないでしょう。
ファッション流通のジャーナリストである松下久美さんが今回の報道を受けて書かれている記事
民事再生法を申請したレナウン、30年間のリストラの歴史と、4つのタラレバを考える
の中でブログ筆者が一番、痛かったと思うのは、
最終的には400億円を投じたという、そもそも高額過ぎたアクアスキュータムの買収判断と、それを活かせなかったことですが
当ブログの過去(2013年)にアクセスをたくさん頂いた投稿
の中で、
多くのアパレルメーカーさんと80年代から90年代にかけてものづくりのお手伝いをさせて頂いた経験から述べさせて頂いたように、
同じアパレルメーカーと言っても、どんな品種、製造方法、採算の採り方が企業体質の根底にあるのか?
そんな出自の違い、しみついたDNAもビジネススタイル、財務体質、企業の耐久性に表れるものだと思っています。
コロナショックは、あくまでも弾きがねのひとつに過ぎず・・・
これから、いままで溜まっていたもの、そして、いずれは下さなければならなかったさまざまな結論に覚悟して向かい合うことを各社に迫る時代の幕開けに過ぎないように思います。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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