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July 06, 2020

気温に合わせて品ぞろえ計画、在庫運用を考え直す

コロナ渦で
春ものはほぼ販売機会を失い、
夏ものは店舗再開まもなく、来店客数減への不安から早期値下げに入り、
秋・冬ものの仕入れを調整することを余儀なくされ・・・

今年は毎年、話題になる、バーゲンをいつから始めるかの議論や、
季節ごとの品ぞろえの在り方の話どころではなくなりましたが・・・

今後、ある程度在庫消化が進み、アフターコロナのニューノーマルへの再出発に向けて、
あらためて、シーズン(四季)がどうなっているのかを考えるために直近気温データを整理してみましたので
ポイントだけ共有をさせて頂きますね。

業界では古くから、年間12ヶ月を四季で割って、20180821_180506それぞれが3ヶ月ずつあることを前提として品ぞろえを考えて来たものでしたが、

参考:ほぼアパレル小売業の四半期に連動
 秋 9月-11月
 冬 12月-2月
 春 3月-5月
 夏 6月-8月

ここ10年くらいは気温の変化によって必要になったら買う、
体感温度が売上を左右する「実需購買」が主流になったことは
長年多くのクライアント企業さんとご一緒に週次の販売データを見てきて感じることです。

季節ごとの需要を動かす気温条件を経験値から

秋 最低気温が15度を下回る日が続く
冬 最低気温が8度を下回る日が続く
春 最高気温が15度を上回る日が続く
夏 最高気温が25度を上回る日が続く

と定義し、

気象庁のデータから、
過去、3年間の東京の最高気温、最低気温、天気などをダウンロードしてグラフにしてみると
以下のような感じになります。
(上記の季節と気温の定義に違和感のある方は、是非、独自の基準でやってみて下さいね)
 
2017年 秋以降のそれぞれの四季の始まりと顧客の着用期間の仮説

        秋       冬       春      夏
17~18年 10/13~1か月、11/16~3.5か月、2/28~2.5か月、5/14~5か月
18~19年 10/17~1か月、11/20~3カ月、 3/9~2.5か月、5/22~5.5か月
19~20年 10/21~1か月、11/21~3カ月弱、2/11~2.5か月、5/2~ ?(6か月?)           

ここからわかることは

秋は3年連続で10月中旬から約1か月しかない、少しずつ始まりが遅くなっている
冬は3年前の3.5か月から徐々に短くなり、昨冬はとうとう3カ月に満たなかった
春は3年連続で2.5か月はある、早く始まれば、早めに夏に移行するため、春が長引くことはない
そして
冬が圧縮された分、夏が3年前の5か月からまもなく6か月になろうとしている

上記はあくまでも東京に限ったたった過去3年間のデータではありますが、
ここにも、地球温暖化による「暖冬」と「残暑」の証が見て取れます。

さて、それがわかったら・・・
天気を後ろ向きな、業績が悪かった「言い訳」に使うのではなく、
それを前提に対応するための前向きな仮説に使いたいところですね。

上記データからの「問いかけ」としては、

Q1 例年1か月しかない、秋。それでも、またがっつり計画を組みますか?
Q2 毎年少しづつ短くなる冬に、それでもまだまだ大きな期待を続けますか?
  ①売れたら儲かるかも知れない博打が後遺症にならないように、
  いかに上手に手じまいすることを考えますか?
  ②あるいは来年もまた売れるものなら在庫を持っても安全ですか?
Q3 春は毎年、売れ残りと売り逃しを繰り返している感がありますが、
  2か月は販売チャンスがありますね。但し、スタート時期が不安定。
  どう夏につなぎますか?
Q4 5か月を超える長い夏対策をあらためてどう考えますか?

などなど

Q1~Q3は割り切りの話、
一番の問題はQ4 でしょうか?

業界では季節をサブシーズンに細分化し、初夏、盛夏、晩夏、初秋などと運用しているところも少なくありませんが、
いくらわけても、ネックは「7月はバーゲン」の常識だとすると・・・

バーゲン前が2か月、バーゲン期が1か月、そしてバーゲン後に2か月も夏気温が続き日々があるということですね。
特にバーゲン後が考えどころです。

また、その間の天気も見過ごせません。

年間降雨日数は年間の1/3近い100日~110日あり、
そのうち毎年、その半分の55日が梅雨を含む夏にあるということも考慮しなければなりません。

変化はチャンスと言いますが・・・

過去の常識にとらわれず、顧客の新しい需要、購買行動にあわせて品揃え計画を一から考え直す

足元のEC強化も大切ですが、行く行くは品揃えと売り切りの在り方に返ってくる話です。

ある意味、「リセット」の機会である今を
よい機会ととらえるか、引き続き過去の成功体験にすがるかで
夜が明けた時の風景も変わって来そうです。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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【参考書籍】

顧客購買行動と品揃え計画および在庫最適化を考えるビジネス読本

人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識 (中公新書ラクレ)

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