顧客の新しい行動様式と用途にあわせて商品提案する
9月のファッション専門店の月次売上速報が一通り発表されました。
これらの結果を見て、やはり、需要は
気温x顧客用途(必要性)x価格x店頭在庫鮮度
の掛け合わせなのだなと感じました。
気温は20日前までは確かに残暑、しかし、4連休以降は9月にしては久しぶりの秋の気温だったと思います。
過去3年が、10月10日を過ぎなければ秋らしい気温にならなかったのに対し、
今年の9月の後半は秋ものにとって悪くはない、コロナウィルスに対する自粛ムードがなければ
アパレルにとっては、悪くない商売条件だったと思います。
次に、近郊、郊外の需要はかなり回復したように思いますが、都心部の回復が遅いですね。
これは、近郊、郊外で行動範囲が広くない生活をしている方々にとっては、感染対策をしながら普通の生活に戻り・・・
一方、都心に通う方々にとっては、着飾る必要性のある環境になかなか戻らないということだと思います。
そんな新しい生活様式に必要なものは売れ、必要でないものは需要が弱いということです。
百貨店やセレクトショップなど前年消費税増税前に、駆け込み需要を狙って、
冬のアウターを前倒し販売をした企業の前年のハードルの高さの指摘もありますが、
それよりは前年と比べて生活様式が変化したことによる、変化対応の遅れ、単価の高いアウターへの需要減が大きいのではないでしょうか。
そして、気温的にはチャンスはあったと思いますが、仕入抑制や持ち越し在庫消化を図ったために、店頭の鮮度を落さざるをえなかったところは売り逃しをし・・・
商売チャンスを活かすべく、しっかり新商品を揃えていたところが業績を伸ばしたという印象です。
これから冬に向けても同じことが続きそうな気がします。
コロナ自粛をものともせず、新しいベーシック商品の在庫を積み込むユニクロ
45日サイクルで新しい商品を次々に店頭に並べるという、もともとの強みに回帰して業績回復中のしまむら
この日本のアパレル専門店ツートップの秋冬業績には期待ができます。
郊外だから、都心だから、という立地だけではなく、また、EC売上構成比の高さだけではなく、
小売の商売というものは
気温x顧客の用途(必要性)x価格x店頭在庫鮮度
のかけあわせであるとあらためて感じます。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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