メルカリ、ペイペイフリマ、フリマアプリの1次流通通販(EC)とのデータ連携
2月17日の日経MJにフリマアプリ大手のメルカリが、アパレル専門店大手アダストリア社他、8つのECサイトと連携し、ユーザーがECサイトで購入した新品商品が着用後に不要になった場合、手軽にメルカリに出品できるサービスを拡げて行くことに関する記事が掲載されていました。
記事によれば、20年春から始まったメルカリの提携先は・・・
アパレルECの「ショップリスト」、家電の「プレモア」、雑貨の「イデアオンライン」、今回発表したアパレル大手アダストリアの総合 ECサイト「.st(ドットエスティ)」など8社。
提携先は、今のところ、すべて、メルペイでの決済を行っているサイトのようで、
購入ユーザーがそれぞれのECサイトでメルペイで決済した商品が、メルカリのユーザーのアプリ内のマイページの中にある、「持ち物一覧」に自動で取り込まれ・・・
ユーザーが将来、その商品が不要になり、メルカリで売却したい、と思った場合、
その商品がメルカリで取引されている相場価格を元に推奨価格が表示されたり、出品の際に必要な、商品カテゴリーや商品紹介が自動表示されてユーザーの出品の手間が簡素化されるというものです。
今後、提携先とは、メルペイで決済していない場合(クレジットカードなど)も同様のサービスを提供する方向で話を進めているとのこと。
そうなると、いずれは、メルペイ決済を前提としない、多くのEC購入商品がメルカリに出品しやすくなるかも知れません。
同記事では、メルカリのライバルとなるペイペイフリマでも、ヤフーショッピング、ペイペイモール、ZOZOTOWNと同様の連携を進めていることも紹介されており、
フリマアプリ大手が
売ること(出口)を考えて、新しい商品を購入する(入口)購買行動
という、リユースショップやフリマアプリを賢く活用する、ユーザーから始まった新しい購買行動の促進を後押ししていることがわかります。
ファストファッションの市場浸透後、コロナショックによる巣ごもりの後押しもあり、
溢れ始めた自分のクローゼットの服を見直す機会が増えたエンドユーザー
流通企業が、エンドユーザーの「クローゼットのワードローブの循環」をどう手伝うか
が新品を販売する企業も避けて通れない、生き残りのカギになるであろうことを
拙著「アパレル・サバイバル」の後半部分で結構なページを割いて問題提起をさせていただきました。
一次流通企業にとっては、
大手であれば、これから、不要品回収から始まるサーキュラーエコノミー(循環型経済)への取り組みが、進むことでしょう。
一方、大手ほど資金力、組織力がない中小企業にとっては、
自身の体力内で回収、リサイクル、リメイク、アップサイクル(染め直しも含む)をすることもできるでしょうし・・・
フリマアプリなど、第三者的なデジタル企業と組んで、ユーザーが不要になった商品を、それを求める他の人に届けるための手伝いをすることもできるでしょう。
ある意味、それも、サーキュラーエコノミーへの取り組みの一環かと思います。
過剰生産、過剰供給を見直しするだけでなく、
お客様のクローゼットを健全にメンテ、循環させることをお手伝いしながら、
顧客の既存のワードローブと相性のよい、今シーズン風の新しい服をご提案する。
それが、これから求められるファッション流通企業の姿のひとつだと思っています。
それを牽引するのは、従来のファッション企業自身なのか、
それとも、未来から逆算するテクノロジー企業なのか?
今回のメルカリやペイペイフリマの取り組みは、そんな未来図に向かうはじめの一歩のように感じられます。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
【オススメ本】 10年後のアパレル業界でのサバイバルのカギは、服のライフサイクルを意識し、顧客の持続可能なクローゼットのワードローブの循環をお手伝いすること。大量生産、過剰供給時代を超えて、新しい時代の関係構築がテーマです。
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