売上は仕入(MD)、粗利は在庫運用(DB)で決まる
先週の2月9日 小売・卸売・製造小売業の在庫問題を解決するクラウドサービス「
フルカイテン さんのオンラインセミナーに登壇させて頂きました。
前半は筆者からのミニ講義、続いて、後半は、フルカイテンの瀬川社長とアパレル小売業の在庫と粗利についての対談をさせ頂きました。
前半のプレゼンでは、
規模の拡大と共に過剰在庫を抱えてしまう要因のひとつに、
仕入担当であるバイヤー(MD)とお客様の間に
関与する職務と人員が増えると、
複雑になった組織の中で商品計画の意図が上手く伝わらない!
コミュニケーションギャップが原因となって、
売り逃しが頻発する、拠点ごとの在庫の過不足が常態化する、
という話から始めました。
そんな事業規模を迎え、過剰在庫の壁にぶつかったら・・・
どうしたら、仕入担当と販売担当が上手く連携しながら、
仕入れた在庫を、機会損失を起こさないように、粗利に換えながら、売り切ることができるか?
その、コミュニケーションの切り口として、
筆者がコンサル現場で、再現性が高く、成果が上がる
シーズン計画を日々の販売計画に落とし込む
いくつかの着眼点についてお伝えしました。
この問題、
筆者は、長年、数多くの年商2~30億円から100億円くらいのステージのファッション販売事業やストアブランドさんたちとお付き合いをしていて思うのですが・・・
多くの事業が、年商10億円過ぎくらいの規模まではイケイケで売上も伸ばし、
在庫消化もそれなりに出来て来たとしても…
年商がその倍の20億円規模を越えて、
約3倍に相当する、30億円の声が聞こえる規模になると、
結構、残在庫問題が経営課題のひとつとして、浮上し、
キャッシュフロー悪化という点で深刻化し始めます。
要は、バイヤーやMDによる商品仕入こそが売上にとって大事なのは間違いないのですが・・・
あるステージを過ぎると、それがすべてではなく、
シーズン中の在庫運用、すなわち、
販売現場の購買行動を見極めた在庫調整とタイムリーな売り切り行動こそが、
営業利益の原資となる粗利額を増やし、在庫をキャッシュに換えるカギになって行く。
つまり、「仕入」と「売り切り」の両輪を上手く回せないと
利益もキャッシュも不安定なステージに入るもの
と多くの事業を見ていて、痛感しています。
仕入れた在庫を活かすも殺すも在庫運用次第
それは、販売する側だけを責める問題ではありません。
その前提として、
●「仕入の意思」が現場に伝わっているか、
● どのように伝わっているか
に寄るところが大きいです。
では、そんな壁に直面した時、どうすべきか?
ミニ講義の最後に
全員参加型の経営に舵を切る第一歩となる・・・
販売担当たち(DB、SV 、EC)が、MDやバイヤーの商品展開計画を理解しながら、
自ら考え、タイムリーな在庫コントロールをする「自走組織」に変えていゆく上でのカギ
についてお話しして、まとめとさせて頂きました。
後半の瀬川社長との対談では、
瀬川さんの気づきと聴講された方々の質疑応答を通じて、
実際、クライアント企業の経営者さん、幹部さん、現場の方々とも、普段、交わしている生々しい話がいくつも飛び出したと思います。
ファッションビジネスに携わっていると、どうしても、何を仕入れるかに頭が集中しがちです。
その一方で、粗利はシーズン中の行動次第で残すこともできるし、簡単に失ってしまうこともあります。
そんな状況に対して、「気合」や「どんぶり」ではなく、
いかに、諦めずに執念をもって在庫を粗利額に換えられるか・・・
同じ目標管理をする組織の中でも、
次のステージを迎えるために、
特に、仕入と店舗やEC販売のハブ的存在となる
ディストリビューターや在庫コントローラー(以後DB)の役割の見直しと戦力化は避けては通れません。
DBはある意味、販売サイドに対する、バイヤーやMDの二人三脚の分身であり、
忙しくて足元の課題に気づけないMDを客観視して、気づきを与える女房役
DBという職務の戦力化、組織の中での販売情報のHUB(ハブ)として機能するかどうかが、
次のステージを乗り切るための第一歩となります。
今回の記事のタイトルの
売上はMD、粗利はDB
とは
正しく、クライアント企業の経営者さんが、在庫コントロールに取り組んだ結果、
危機を乗り越え、最高益を続けた後におっしゃった言葉ですが・・・
同時に、筆者の長年の信念と活動をシンプルに言語化して頂いたフレーズでもあります。
コロナショックで仕入を絞って、少ない在庫で利益を稼がなければならない、今こそ、
仕入れた在庫をチームワークで活かしながら運用して、最大限の粗利とキャッシュに換えるための・・・
全員参加型経営にむけての業務再構築に力を入れたい時、だと思います。
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執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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