ニトリが島忠のHOME'Sをニトリホームズとして順次改装、今後のホームセンターマーケットの見どころ
ホームファッション最大手のニトリがホームセンター業界大手のDCMとのTOB買収合戦を制して、2100億円で傘下に収めた、HOME'Sなどホームセンターを展開する島忠(関東中心に約60店舗展開)。
従来は1階はホームセンター、2階は島忠の家具の構成が特徴だったHOME’Sなどの店舗を、これから2階部分をニトリの家具に入れ替えて、
今後の新店や改装店は、「島忠」や「HOME'S」としての出店はなく、すべて「ニトリホームズ」という屋号で順次改装して行くそうで、先々週オープンした「ニトリホームズ宮原店」からニトリ流の品揃え改革が始まるようです。
ニトリが、市場規模1兆円と言われる家具市場、同3兆円と言われるホームファッション市場の最大手となり、これから市場規模3兆円と言われるホームセンターマーケットに参戦。
ニトリの品揃えとホームセンターで販売される商品の中には被るものも多いので、ニトリがこの市場に対して、どのように挑戦して行くのかが楽しみです。
ホームセンターの損益計算書(P/L)に見られるビジネスモデルの特徴は、粗利率30%台前半あるいはそれ以下で、低価格を強みとする品揃え。それらをローコストオペレーションで回すのが特徴です。
同じホームセンターと言っても・・・
ホームインプルーブメント関連、園芸・エクステリアから、インテリア、家庭用品、日用消耗品まで、品揃え構成は各社それぞれで・・・
その品揃え構成比によって、粗利率や在庫回転率が違って、利益の取り方が違うのを、なぜそうなるのかを比較するのも面白い業界です。
ホームセンター市場は、ある程度コロナ禍による特需の恩恵を受けましたが・・・
市場そのものは横ばいか微増とのことで
いかに、M&Aなどで、統合してグループを大型化し、バイイングパワーを強め、同時にプライベートブランド(PB)比率を高め、自ら利益をコントロールするかに、かかっている業界のようです。
一方、ニトリは多くの家具出身小売業がそうであるように、家具という購買頻度の低いアイテムに対して、50%を超える高い粗利率による利益でカバーする業種が出自でありながら、
購買頻度の高い、ホームファッションや家庭用品や消耗品系のアイテムを、メーカーからの仕入れに頼らず、自らPB化して、高い回転率と粗利率(両者をかけたものが交叉比率)で勝ち上がって来た、本格派の製造小売企業です。
今後、ニトリが得意なPB開発による低価格高品質、高粗利率とアパレル並みの在庫回転率を武器に・・・ホームセンター市場に食い込んで行くでしょう。
一方、ホームセンターの現在の業界最大手は非上場企業であるカインズホームです。(ワークマンと同じベイシアグループ)
同社もニトリと同じく、故渥美俊一先生から多くを学び、アメリカのチェーンストアの先行事例研究を徹底的に行って、日本の消費者にあわせて、ローコストオペレーションを徹底して勝ち上がって来たチェーンストアの雄です。
ホームセンター業界の中では、PB比率が高い企業のようですが、それでいて、高い粗利を取るのではなく、
低価格、低粗利率(バリュープライス)をローコストオペレーションで回す達人のような企業の一社です。
いずれ、両者のマーケット(ホームセンター、ホームファッション、家具)はひとつになり・・・
各地でニトリとカインズの頂上決戦が話題になる時が来るのではと見ています。
それぞれが切磋琢磨されて、最終的に利益を得るのは日本の各地のエンドユーザーであるという・・・渥美先生が描いたマーケットを是非、日本で実現して欲しいと思っています。
楽しみにしています。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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