企業決算書からヒントを得るためのコツ~まずは自社の課題の特定から始めよう
先週の金曜日、WWDJAPANに月イチ連載中の上場ファッション流通企業の決算書から業界の動向や業務のヒントを読み解く「ファッション業界のミカタ」のオンライン連続セミナー(全4回)が終了しました。
第1回 世界アパレルチェーン売上トップ10企業の最新動向から学ぶこと
第2回 ZARAのインディテックスの最新決算から学ぶ、アパレルチェーンが向かうべきビジョン
第3回 ユニクロ(ファーストリテイリング)世界一への道と課題克服へのチャレンジ
第4回 ZOZO の決算データに見る、ファッションEC ビジネスの損益と未来
おかげ様で、各回定員いっぱいの方々に視聴頂き、感謝を申し上げます。
時折、公開企業の決算書のどんなところを見ればよいのですか?とご質問を頂きますが、
もちろん、読む方が投資家なのか、実務にかかわっている方なのか、によって見るポイントは当然、変わって来ます。
筆者の場合、小売経営に携わっていたことから始まり、その後、コンサルとして、企業向けに業務改善のアドバイスをする立場なので、読む対象となる企業の決算の良し悪しを評価するというより、
その企業さんがどのようなビジネスモデルを確立し、継続的に儲けている秘訣は何なのか?
特に、強みとする経営効率のヒントを読み取ることにしています。
その際、大事なのは・・・
まずは、自社あるいは、クライアント企業の課題の中から、
今回、改善のヒントを得たい項目を具体的に絞り込んで、特定することです。
・営業利益を高めるためには?
・当社の販売効率や生産性は改善余地があるのか?
・在庫日数はどれくらいで回すべきなのか?
などなど
つまり、
・他人事ではなく、自分事にすること
そして、あれもこれもではなく
・今回、好奇心をもって、知りたい、解決のヒントを得たい特定の項目にアンテナを立てること
です。
最初にそれを行った上で始めるか、どうかで、得られるものは全く違うものになって来ます。
そして、
その課題について、上手くやっていると言われる上場企業を特定して、その企業のIRページを訪れます。
一般的に決算関連資料は有価証券報告書、決算短信、決算説明会資料などがありますが、
その他にあるDataBookやFactBookや決算概要などにその企業が長年大切にしている経営効率が載っているケースが多いので要チェックです。
小売業であれば、
●販売効率 1店舗あたりの売上高、売場面積、面積あたりの売上高
●生産性 従業員一人当たりの売上高、人時売上高
●在庫効率(在庫日数、在庫回転率) など
経営の最小単位で比べると、
同業他社との比較もしやすくなるものです。
また、ズバリの数字は載っていなくても、
それぞれ別の場所に掲載されている数字どうしを割り算をすることによってわかる時もあります。
そして、それらを時系列で並べることで、その会社の企業努力も見て取れます。
実は、このアプローチって、店舗視察を行う場合も同様だと思っています。
店頭VMDはいつ変更しているのか?
混雑時のレジ対応は?
アイドルタイムをどう使っているのか?などなど
自社のオペレーション上の課題を具体的に特定した上で、
あの企業は、その課題にいったい、どう対処しているのか?と関心を持つことから始まります。
自身の頭の中に、そんなアンテナが立っているのかいないのか?で
ヒントの吸収力は数倍も変わってくることは皆さんも経験したことがあるはずです。
公開企業の決算書も店舗もビジネスの活きた教科書です。
情報の宝庫から、学び、未来を切り開きましょう。
最後までお読み頂きありがとうございます。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
| Permalink | 0