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September 20, 2021

過剰在庫を抱えてしまう3つの理由

Wwdjapan-vol29WWD JAPANの本紙に月イチ連載させていただいている
「ファッション業界のミカタ」(ファッション流通企業の決算書の見方)

9月13日号(vol.29)のタイトルは、「事業への投資資金をどう捻出するか」として、
システム投資をするにも、投資する原資がない、と嘆く企業さんが多い中、

投資のための現預金を増やすために「過剰在庫」にメスを入れる、
をテーマに、ファッション企業、特にアパレル企業が抱える「在庫の中味」を可視化するための視点を述べてみました。

仕事柄、多くの企業さんと在庫の中味をご一緒に検証する機会がありますが、
当シーズンの売れ筋在庫、同スロームーブ在庫、キャリー在庫(シーズン持ち越し在庫)にわけてみると・・・

事業拡大と共に、当シーズン売れない、あるいは定価販売しづらいキャリー在庫のウエイト(全在庫に対する構成比)が年々どんどん高くなって行くことがわかります。

気が付いたら、在庫高はこんなに沢山あるのに・・・

毎シーズン、限られた一部の売れ筋商品の「上澄み」だけで
店頭販売やECサイトを回している、

一方、キャリー在庫予備軍であるスロームーブ在庫の対応は後回し、

なんていう実態になっていることも少なくありません。

そんな過剰在庫を少なくするためには・・・

理想を言えば、ZARAのように、必要な分だけつくり、店頭に並べ、用意しておいた素材を活用して、シーズン中に売れるものをつくり足す・・・

そんなオペレーションに取り組むことが、効果的なのですが、
今すぐ取り組むには、実にハードルが高いので・・・

まずは、足元からどう取り組むか、について連載記事にまとめてみたものです。

そもそも、過剰在庫を抱えてしまう理由は大きくわけると
3つあると思っています。

ひとつは

販売力を上回る過剰発注・過剰生産。

過剰生産をしないと原価率が合わないため、何とかなる?と作り過ぎたり、
品番をヒットさせたいために、むやみに増やした不人気色の売れ残りだとか、
売れ筋商品の過剰追加発注がこれにあたります。

次に

販売拠点への過剰配分の放置。

売上予測に基づく初回配分が是正されないと、
売れ点自動補充システムも過剰在庫を生むという盲点です。

そして3つめは

それらに薄々気づいていながら・・・

売上上位品だけを追いかけて、在庫を積み増すものの、

その他の在庫への対処が後手に回り、販売機会を逸し

シーズンが進むほど積み上がるスロームーブ在庫。

その結果、シーズン末に倉庫にキャリー(繰り越し)在庫となる
商品在庫が戻って来るわけです。

そして、また、翌シーズン、

キャリー在庫という足かせ(過剰在庫)を負いながら

新しいシーズンが始まるという訳です。

抱えている在庫の中身の常に3割くらいがキャリー在庫という

会社さんも少なくないのではないでしょうか?

一言で過剰在庫と言っても、要因はいろいろなところにあり、
気づき方や対処方法も違います。

商品そのものの良し悪しやコスパ(適品、適価)が第一であることは間違いありませんが、

仕入れた在庫に対して、シーズン中に適時、適所、適量のアクション取れたかどうかで
シーズン粗利額と最終消化率は大きく変わることを多くの現場で体験して来ました。

B/S(貸借対照表)の左側(資産)を見て頂ければわかりますが、

現預金のすぐ下にある在庫はキャッシュ(埋蔵金)。

商売人にとって、その中味にメスを入れ、

タイムリーに粗利を生みだしながらキャッシュに換え、残在庫を残さないように売り切ることで

現預金を保つことの大切さは今も昔も変わりません。

そして、これからは、生み出した利益、キャッシュを

会社の未来へ、同時に、

従業員の成長のための投資に

有効活用して行きたいものですね。

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https://www.wwdjapan.com/articles/1259258


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執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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