アイリスオオヤマの「なるほど家電」に学ぶ商品開発の着眼点
10月25日の日経新聞「経営の視点」にコロナ禍の逆風下でも売上を伸ばすアイリスオオヤマの急拡大に関する解説コラムが掲載されていました。
2011年に2400億円だった売上高は、世間の要望に応えたLED電球などを中心に急拡大を遂げ、19年には倍増の5000億円、コロナ禍には20年、1年で6900億円(前年比38%増)となり、22年には1兆円に達する勢いとのことです。
記事が指摘しているように、
2010年以降の長年のデフレ下で同社がホームセンター中心に納めた値ごろ感のある家電製品が受けたこともありますが、
「なるほど家電」シリーズに代表される、独創性の高い、というか、
消費者の使い勝手のかゆいところに手が届く、その部分に機能を絞り込んだスピーディな商品開発能力に強みがあることは、筆者もつくづく感じておりました。
・便利なはずのリモコンが見当たらず、TVが操作しづらくなったストレスや
・外出先から帰宅前にエアコンのスイッチを入れることが出来たら、どんなに快適か
なんて、誰もが一度は考えたことではなかったでしょうか?
それらを商品化したのが、まさしく「なるほど家電」です。
大事なのは、思いつきだけでなく、それをあったらいいねと、語るだけでなく、諦めず、商品化する情熱でしょう。
記事の解説の言葉を借りれば、同社の強みは
「消費者行動の変容に応じたモノの定義変更」
同社は、すでに世の中に多数存在する既存の商品の価値を、消費者のお困りごとにクローズアップしながら再定義するように引き出している、というわけです。
みなさんも、ここ数年で、LED電球やマスクのような消耗品から、使い勝手のよいアイリス製の小型家電が身の回りに増え、身近に感じるようになったのではないでしょうか?
在宅が増えて電気代が上がった我が家では、室内乾燥でも洗濯ものが速く乾く
アイリスのサーキュレターを重宝しています。
最後に記事の中にあった、アイリスオオヤマの大山会長の言葉を引用させて頂きます。
モノの品質はデジタル化で年々アップし、不満はなくなる。
しかし、コトへの不満はある。そこが(開発の)キーワードだ
「なるほど家電」のほとんどは社内の消費者目線を持つ社員さんからの提案から生まれたもの。
最初は「原石」だった提案を「なぜ、どうして、どうすれば」=NDDと呼ばれる秘密コード?で磨きをかけて行くそうです。
世の中にない、新しい商品開発をするのも大事ですが・・・
すでにある商品を消費者のお困りごと視点に立って、定義を変えて、提案する。
ヒット商品というものは、そんな中から生まれてくるのではないか、とあらためて気づかされたものでした。
関連エントリーナラティブ(顧客を主人公にした物語)から考える
最後までお読み頂きありがとうございます。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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