顧客購買行動の変化にあわせて店舗の役割と品揃えを変えるユニクロ
ユニクロを展開するファーストリテイリングの21年8月期決算が発表されました。
売上高はコロナ禍にかかわらず、
2019年8月期のピーク比93%、営業利益97%まで回復し、
当期利益については為替差益のおかげで過去最高更新という結果はさすがです。
決算関係資料の詳細FACTBOOKを見ると
そんなユニクロでも、
国内直店舗の売上高はピーク(2019年8月期)比9掛けながら、
売上比率15%まで高めたEC売上増で店舗+ダイレクト(EC)の国内売上高を微減程度に維持し
売上がピーク(19年8月期)比9掛けまで下がっているウィメンズ部門の落ち込みを
グッズその他部門やベビーキッズ部門で補おうとしている
つまり顧客購買行動の変化に対応していることがわかります。
国内最強のユニクロとて、
・店舗は以前のようには売れない
・服も以前のようには売れていない
そんな状況を
ECを強化し、服以外のアイテムを拡充して変化対応しているという訳です。
店舗だけでは売れない、服だけでは売れない時代に・・・
ユニクロはその一方で、店舗を大型化させていることもわかります。
1店舗あたりの平均売場面積は
3年前 284坪/店
直近決算 303坪/店
と6-7%も大きくなっているのです。
ということは、店舗だけの坪効率は下がっているわけですが、
効率主義であるユニクロがそれをわかっていて、
大型化を続けているわけはありません。
それは、店舗に、顧客の新しい購買行動にあわせた役割を持たせようとしていることに他なりません。
ひとつは、EC拡大時代の店舗の役割として
店舗をEC注文の受取拠点として活用し、
そして、これからは、近隣配送拠点(MFC)化させることを進めています。
つまり、EC注文に店舗在庫を引き当てて、店舗で渡す場所として活用したり、
更に、EC注文商品の出荷拠点(倉庫)としても活用し始めます。
次に、店舗は体験の場として、
店舗に居ながらにして(オフ)、アプリ経由でオンライン接続してもらうことで
わざわざ店舗に来たからこその体験を豊かにする試みも進めています。
また、グッズその他 として、新しいカテゴリー商品も増やしていますよね。
サイトを見ると、そのカテゴリーには、ライセンス商品が多いようです。
そんなわけで、ユニクロは、店舗が売れなくなる時代の店舗の役割の見直し、
服が売れなくなる時代の品揃えの変更にしっかり、投資をしているわけです。
さて、皆さんはそんな、購買行動が大きく変わる時代に、
先回りしてどんな準備をしているでしょうか?
不採算店舗の閉店だけが選択肢ではないはずです。
最後までお読み頂きありがとうございます。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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