ユニクロに見るファッションチェーンの未来図
WWDジャパンの月イチ連載中「ファッション業界のミカタ」(ファッション流通企業の決算書の見方)。
今週発売のvol.31(11月8日号)のメインテーマは、「春に9%値下げしたユニクロは利益を確保できたのか」
ファーストリテイリングの21年8月期決算発表から、特に国内ユニクロ事業について分析して気づいたことをまとめてみました。
今回の決算で一番気になっていたのは、国内ユニクロ事業が3月からの消費税分約9%相当の値下げに耐えられたのか、というところでした。
直営店&ダイレクト販売含む既存店売上を見る限り、
約9%下がった客単価を客数9%増でカバーし、売上高については前年キープ。
一方、生産原価改善と値下げコントロールで粗利率は過去最高水準。
広告宣伝費、物流費など販管費も抑えて、
第4四半期は緊急事態宣言や秋気温になるのが早かったので夏の消化に苦戦しましたが、
まずまずの利益を確保した、と評価してもよいのではないでしょうか?
また、こういった短期のテクニカルな対応だけでなく、
店舗を大型化して、店舗とECを買いまわる顧客にあわせて、
店舗の役割を見直しているところに注目です。
これは
顧客購買行動の変化にあわせて店舗の役割と品揃えを変えるユニクロ
でもお伝えした通りですが、
これから来年にむけて、
ファッション流通のオムニチャネル化の新しいステージが始まります。
そこでは、
◆顧客が店舗からオンラインに接続して得る情報を促進するアプリの進化
◆店舗がEC販売の受取拠点、出荷拠点となるマイクロフルフィルメントセンター(MFC)化=近隣倉庫化
の2つがキーワードです。
グローバルではZARAが、国内ではユニクロが最も進んでいる企業の代表格と言えるので、
是非、注目しておいてください。
最後までお読み頂きありがとうございます。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
【おススメ本】先行するZARAを追いかけるユニクロ。ZARAの背中を見ていれば、まだまだやることはたくさんあります。
「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本
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