「豊かさ」を超える、選択肢のワナ
1月24日の日経新聞、インサイドアウトというページに良かれと増やす、多すぎる品揃えは逆効果で、購入率を下げるという研究結果に関する記事が掲載されていました。
学生を対象にしたある調査では、
目の前に並んだ人気スイーツ12種の中から3つ選ぶ場合と、4種類の中から3つ選ぶ場合、
多い選択肢から選んだ場合の方が、「後悔」や「選び直したい」という思いが多かったそうです。
また、ジャム売場で行った試食から、試食した人の中からどれだけの人が購入に至ったかの調査では
6種類で試食を実施した際は 3割が購入に至ったのに対し、
24種類に増やした場合、たった3%しか購入に至らなかったそうです。
これ、「選択のオーバーロード現象」というそうです。
多くの選択肢がもたらす必要以上の情報を負担に感じ、
決断や行動が乱れてしまう状態を指すようで、
似たようなものに感じ、明確な区別がつかないまま選んだ結果に、
納得できない感情が募る、ということも起こるようです。
思い起こすと、学生時代(1980年代)、
経済学を学んだころ、「豊かさ」とは「選択肢の豊富さ」だと教えられました。
時を経て、競争下の企業努力もあり、今や、種類も価格も豊富過ぎる選択肢に溢れ、
店頭のみならず、オンライン上も加えれば、選び切れない品揃えが現実。
従って、一番安いのか、一番有名なのか、
あるいはランキング上位、はたまたレビューが多くてよいものから選ぶ
というのが購買心理でしょう。
似寄り品を増やしてしまったり、色数を増やしてしまうのは、
お客様を迷わせるだけでなく、商品管理が難しくなり、残在庫の要因となる
仕入担当者の改善すべき「クセ」のひとつ。
黙っていても、売り切る力があるのなら別ですが・・・
期末余剰在庫を検証すると、売れ筋商品の売れない色がごそっと残っているというのも多くの現場で上位に上がって来ます。
適度な選択肢の提供、絞り込みはお客様のためであると共に・・・
企業利益のためでもあることを、あらためて肝に銘じたいものだと思いました。
関連エントリーー色展開よりサイズ展開を増やした方が顧客層は広がる
最後までお読み頂きありがとうございます。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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