ZOZO(ゾゾ)とアパレル専門店の財務諸表(PL、BS)を比べることで見えてくるEC拡大時代の経営課題
2月14日発売のWWDJAPAN、月イチ連載させて頂いている「ファッション業界のミカタ(ファッション流通業界の決算書の読み方)」では
日本最大級のファッションECモール ZOZOTOWNを運営するZOZOの損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)の構造を、よくあるアパレル専門店のP/LとB/Sとの違いを比較することで解説をさせて頂きました。
エンドユーザーから見ればECモールも専門店も同じ小売業に見えますが、両者の財務構造が違うのは言うまでもありません。
ZOZOの場合、受託販売をメインにしているため商品在庫が極めて少なく、有形固定資産(店舗や倉庫資産投資)や敷金や差入保証金のような寝かせる投資資金が少ないのがBSの資産側の特徴です。
自社在庫を販売しているわけではないので、P/Lは売上原価が少なく(同社売上比5%程度)、ハンドリングする商品取扱高の30%程度の販売手数料収入を中心とした粗利がとても大きく見えます。
販売管理費の主要項目は、一般アパレル小売業が店舗と人件費が2/3占めるのに対し・・・
ZOZOは荷造運賃と物流関連人件費(業務委託含む)と本社人件費で2/3を占めます。
店舗型小売業よりも家賃・設備などの固定費が少なく、
人の生産性も高く、
近年、広告宣伝費販促費が圧縮出来ているので
高い営業利益率が獲得出来、積み上がるキャッシュや純資産の原資となっています。
リアル店舗とEC専売のECモールの大きな違いを見ることで・・・
これからEC化率が高まり、リアル店舗中心の財務構造にECビジネスの構造が被さって行く小売業が
向かって行く方向性や予想される変化と共に経営課題も予見出来ます。
それにしても、プラットフォーマーは在庫を持たずにビジネスを回しているので、現預金が多いのが非常に羨ましいですね。
店舗に家賃をたくさん払い、在庫を山のように持って商売をすることを何とか見直せないものかと、
そして、これからはP/L脳だけでは勝てない、B/S脳で勝負しないと勝ち残れない
と、あらためて考えさせられたものでした。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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