目的なきデータ収集には意味はない~データドリブンなチームになるために必要なこと
先週、東京ビッグサイトで開催された小売業向けデジタル機器やソリューションを紹介する「リテールテック」というイベントを覗いて来ました。
最近話題のメタバースなどの未来のテーマは前面には出ていませんが(笑)
今、そして3年後くらいを視野に入れた小売業の足元の業務課題解決がメインテーマの比較的現実的なイベントです。
いろいろなテーマがある中で、
何年も前からメディア露出はありましたが、
店舗における人流や顧客行動や店舗オペレーションをセンサーやカメラで観察し、AIを駆使してデータで明らかにして、マーケティング的に活用できないか、また業務効率化が図れないかというソリューションがあり、
当イベントにもそのテーマのサービスを紹介する会社が何社か出展されておりました。
そんなサービスが登場する背景としては、
Eコマースの拡大と共に、ウェブマーケティングはデータに基づく、いわゆるデータドリブンな仮説検証が進んでいるのに対し、
店舗現場ではPOSの販売データや入出庫や在庫データくらいしかデータがなく、
業務改善が進んでいない、
画像をベースにしたデータ化の進化も進み、
そんな現代テクノロジーを駆使してデータを取得して提供しようというものです。
話を伺うと
リアルタイムに取得できる通行客、客層、入店客数、顧客動線、複数のデータを組み合わせれば、人やモノの動きに関するデータは何でも取れるといいますが
どんなデータを取ることが小売業にとって有益なのか?
データを取得して提供する方々は正直オペレーションに明るいわけではないので、
効果的な活用が実感を持ってわかっているようではありません。
一方、そんな提案を受ける企業の本部側の方々も、データを取ろうと思えば、何でも取れることに可能性は感じるものの、
興味はあっても、費用がかかることなので、活かし切れるかがわからず、具体的な依頼が出来ないでいる、というすれ違いを感じました。
このデータ取得と活用の壁をどう埋めるかが、
データ経営へのブレークスルーなんでしょうね。
ECやデジタルマーケティングをしている人から見ると、
アナログ、情熱、勘や根性で、俗人的にやっているように見える店舗販売でも、
実は、古くから、それらが形式値、つまり数値化されたり、共有されていないだけで、
自分たちが出来る範囲で、完ぺきではなくても、仮説検証している人たちもたくさんいらっしゃいます。
データを取らずとも、
前向きに顧客を見ている人にとっては、
顧客の反応は肌で感じていますし、
店内の顧客動線つまり、どこから入って、どこを通って、どこ立ち止まるか、
それによって売りたい商品を何処に置けば、結果が出るか、売上が最大化するのかを想像して、
それを実行しているものですし
そんな例を挙げれば、事例は次から次へとたくさん出て来ます。
むしろ、数字そのものよりも温かみのある、説得力のある経験値かも知れません。
データは取って貯めることが目的ではなく
何を成し遂げたいからから取得するのか?
その目的がなければ、データを細かく取っても、コストがかかるだけで
意味がないことは言うまでもありません。
そして
暗黙値だったものの裏付けを数値で取って確信したり、
上手くやっている人が出来て成果を上げていることを、
多くの仲間がそれを真似し、再現性のあるものにしたり、
更にそれに改善を加えるために使うもの
だと確信します。
これは「出来ている」と思っているECやウェブマーケティング側についても
当初は同じことだったはずです。
事業会社時代に
「マネジメント」の意味は
やりかたを変え、結果(数字)を変化させ、成果を出す(目標達成する)こと
と教えられたものでした。
これは仮説さえしっかり立てていれば、既存のシステムから出力できるデータでも検証可能なものでした。
データ活用にあたって、なぜそのデータを取るのか?
取得の目的と現場の行動成果を繋げる「目的の言語化」が求められています。
そして、目的を達するために、可視化するものは何か?
その答えは現場にあるはずです。
データは貯めこむものではなく、目的に応じて取得して使うもの。
データドリブン時代においても、
どんな仮説を立てて、どんなデータを取って、その数字を目標達成のために
変化させるのか、それを発掘することこそが
オン・オフ問わず「マネジメント力」の入口かも知れません。
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執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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