急成長ルルレモン躍進の秘密
コロナ禍を経て、最も注目すべきランクイン企業は
ルルレモンです。
ルルレモンは1998年、カナダで創業
アメリカ合衆国を中心に
過去10年で年平均約20%の成長を続ける
ヨガやランニングなどアスレジャーを中心に
健康な体づくりのためのスポーツアパレルをメインに販売するチェーン
ナイキやアディダスが靴を中心にウエアも展開するのに対して、
ルルレモンは、もっぱらアパレル中心
そして、
アスリートというより、アスレジャーに関心のある一般大衆向け
また、
直営店とオンラインでエンドユーザーに直接販売するのが著名グローバルスポーツブランドとのアプローチの違いです。
そんなルルレモンは
2022年度世界アパレル専門店売上高ランキングで、第6位
北米ではGAP社に次ぐ2位ですが、営業利益はGAP社を遥かに上回って、1位
lululemon ルルレモンという単一屋号では
すでにGAP社のオールドネイビーやヴィクトリアズシークレットを抜いて1位の売上規模です。
商品は4wayストレッチや速乾など機能素材を使った、アスレチックにも普段着にも使える着心地が良く、動きやすいウエア
単に、服だけを販売するのではなく、
店舗で開催されるヨガ教室やランニング教室で
コミュニティーづくりを通じてコアなファンを増やして行くマーケティングが秀逸です。
そんな店舗体験提供に裏打ちされているため
けっして安くはない商品が、オンラインでも良く売れて、
23年1月期決算では、いよいよ、オンライン売上が店舗売上を上回りました。
オンラインの本社費差し引き後営業利益率は25~30%と
同10%前後の直営店より高いため、
全社営業利益率は20%近い高い収益率を上げています。
そんな 店舗体験型による顧客のつながり
と
オンライン事業の収益性
の二本柱に、とどまらず、
未来に向けて面白い取り組みがいくつかあります。
ひとつは
自社商品の買い取り、再販プログラム
lululemon Like New
です。
ユーザーが不要になったルルレモン商品を
ルルレモンが引き取って、顧客には新品購入の際に割引になるクレジット(ポイント)を付与します。
ヘビーユーザーたちは店舗で開催されるイベントに参加するだけでなく、
購買頻度も高いユーザーでしょう。
店舗で開催される教室には新しい商品を着て行きたいでしょうし、
毎シーズンアップデートされる商品を知れば、新しい商品が欲しくなるわけで、
そこでまだ十分着ることができる不要になった旧商品
(といってもそんなに古くないからLike New)
を、手放す受け皿をルルレモンが自らつくり、
一方、これからルルレモンを着てヨガやランニングを始めようとする
エントリー顧客さんには
半額以下の手頃なお試し品として提供できるというわけです。
2つめは
オンラインコンテンツの提供です。
ヨガやランニングをする人は当然
自宅またはその近辺でも日頃から自らのエクササイズを行うわけで
その手助けに沢山のエクササイズの秘訣を提供する
オンライン動画を配信します。(無料と有料コンテンツあり)
そして、3つめは
有料会員制の普及です。
同社は22年に会員制プログラムを始めました。
無料コースと有料コースがあり、7カ月で無料会員はすでに9百万人に達したそうです。
月間または年間有料会員になると
商品の割引が得られたり配信コンテンツが無料になったり
ルルレモンが提携する提携エクササイズ教室が割引で
受講できるというわけです。
・オンラインと店舗を行き来するオムニチャネル
・店舗での体験提供
・リセールによる循環プログラム
・コンテンツ配信、有料会員制・・・
顧客とつながり続ける取り組みを地に足をつけて次々に取り組んでいるのがわかります。
同社はこれらの取り組みにより
2022年1月期の売上約8000億円を5年間で倍の1兆6000億円にする
POWER OF 3 X 2というプロジェクトを推進中。
その原動力は
・オンライン売上を倍増させ
・後発のメンズの売上を2倍に増やし
・北米外の海外売上を4倍にする
ことによって実現するとのことです。
海外展開について、すでに、100店舗を超えた中国に対して
日本にはまだ、六本木、原宿、表参道、銀座、新宿(丸井)、梅田、そして御殿場のアウトレットを含む
7店舗しかありません。
店舗が少ないと認知度が低く、日本市場には今のところインパクトも少ないかも知れませんが
ルルレモンは今時の、ファッション関連のグローバルマーケティングの最前線にいる学ぶべきブランドのひとつと感じます。
ルルレモンは既存スポーツブランドとは違うアパレルチェーンとも違う
ゲームチェンジャーの1社です。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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