在庫をたくさん作らなくても、小ロットでブランドを立ちあげる方法もあるという話
9月14日の繊研新聞にTシャツなどアパレル製品へのシルクスクリーンプリント加工を手掛ける企業、シルクマスター社がスケートボードへのプリント技術を開発し、発売を始めたという記事が掲載されていました。
この記事を読んで思い出すのが、90年代、アメリカのトレードショーでよく出会った、スタートアップブランドたちです。
当時、西海岸では、独自のグラフィック(CG)を活かして、ブランドを立ち上げ、Tシャツ、キャップ、ショーツ、スケートボードなどにプリントや刺繍を施して、トレードショー向けにサンプルをつくって出展するチャレンジャーたちがたくさんいました。
主に、スケーターブランドの連中ですが、実際にショーで受注をとってから、いわゆるブランクボディと呼ばれる、プリント用の無地のTシャツ、キャップ、ショーツ、スケートボードの板を、在庫を持つサプライヤーから、ケース単位で仕入れ、加工をしてからデリバリーするという手法を取っていました。
そんなスタートアップブランドたちは、小売チェーンのバイヤー向けのBtoB卸ビジネスが主だったのですが、
Tシャツとキャップとショーツとスケボーとステッカーが揃えばれっきとしたストリートブランドの始まりだったんですよね。
当時、世界からアメリカ西海岸に新興ブランドを「買い付け」に来るバイヤーの手伝いをするために、各地のトレードショー周りをしていた私は、
「数量をたくさん発注するなら、ブランクボディを買う金がないから、代金を先払いしてくれないか?」
と申し出てくるスタートアップもあって、アメリカって夢を持って、起業もしやすい環境にあるんだな、って思った記憶が蘇ります(笑)
もちろん、その後、成功したのは一握りの起業家だけでしたが・・・。
今も昔も、アパレルブランドを起業しようとする方々がいらっしゃると思いますが、
もちろん、どんなブランドにしたいか、にもよりますが、
今どきは、日本でも、わざわざ生地を買って、一からつくる在庫リスクを負う本格的なモノづくりをしなくても、
加工用の製品在庫を持つ専門メーカーさんがいくつも存在しますから、
無地(ブランク)ボディを仕入れて、グラフィック勝負で、プリントをする、刺繍をする、リメイクする。
そのアイテムのバリエーションも、Tシャツだけでなく、いろんなアイテムがケース単位で仕入れられる時代になったので、小資本で、Eコマース発信のBtoCで立ち上げるところから始める起業家も出てきやすい環境にあるんじゃないか、と思います。
手軽になり、参入障壁が下がる分、競争も激しく、創意工夫の勝負であることは間違いありませんが、小資本でもスタートアップできる環境が整い、選択肢が広がり、業界にチャレンジャーが増えて行くことは、楽しみでもあります。
今や有名になったブランドも、最初からお金があったわけじゃなく、
そんな資金の苦労をしながらスタートアップしたんですよね。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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