平均単価が上がることと値上げが支持されていることとは全く別の話
しまむらが
客単価を上げへ もう一格上のPB発売
という見出しで
鈴木社長のインタビュー記事が掲載されていました。
従来のプライスポイント(最多価格帯)よりも1000円高いPBクロッシープレミアムが良く売れているという話。
同社は上半期、客数ほぼ変わらず、平均単価が上がり、セット率は下がったものの、客単価アップ で既存店の売上伸ばすことに成功し
更に単価の高いPB 商品開発の実験に意欲的 という話です。
原価高騰の折
各社、上がる仕入れ原価に対し、いかに販売単価を上げるかに頭を悩ませるとことですが、
売上が増えているからと言って
「値上げが支持されてる」
というような報道を最近、目にすることが多く、その都度、違和感を覚えています。
ユニクロについても「値上げ」が上手くいっているというような報道がありますが
それは一部の商品、値上げをしないと許さない?株主対策であって
確かに定価を上げている商品もあるようですが
店頭に行けば
秋までは1990円
冬は2990円
というのプライスポイント(同社最多価格帯)を
期間限定価格含めてその価格を作って
しっかりアピールして
来店客には値上げした、高くなったようには
感じられないように工夫しているのが実情です。
しまむらも同様で
店頭では圧倒的に1900円未満
つまり1790、1490の商品が目立ち
そして990、790など1000円未満の商品も多数あり
高くなった感を感じさせない売場です。
つまり
買い上げ客数をある程度維持するための
従来のプライスポイントの商品はしっかり揃え
来店客には高くなった感を覚えさせず
一方、
プライスポイントに対して相対的に品質を高めたものを
高いプライスラインを設けて提案することで
あっここにもいい商品はあるんだなと思ってもらい
「高いものも売れる」という
将来に向けての次のチャレンジをしていたり
あるいは
原価が上がっても
定価は据え置いた商品を前面に見せ
むしろ値下げを押さえることで
最終利益を確保しているわけで
決して
クオリティが同じものを
原価が上がった分
そのまま販売価格転嫁しているわけではないので
誤解をしないで欲しいと思います。
平均単価が高くなったところを見て
「値上げが支持されている」
と思ってしまってはとても危険な話です。
今に限らず、過去にも同じようなことが
何度かありましたからね。
ちなみに
天候、気温関係なく
単価を意図的に上げたことで
それ以上の客数減
例えば10%以上減ったなら・・・
それは明らかに客離れだと
深刻に思った方がいいと思います。
覚悟して
ビジネスモデルを変えたり
リブランディングするなら
話は別ですが、
同じビジネス構造での二桁以上の客数減は
確実にボディブローのように効いてきて
半年もすれば経営にインパクトをもたらすでしょう。
報道されていることを表面だけでとらえず
各社の工夫を読み取って実践に活かしたいものです。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
【アパレル企業のビジネスモデルが丸わかり】
「図解 アパレルゲームチェンジャー
~流通業界の常識を変革する10のビジネスモデル」(日経BP社)
Amazonでのご購入はこちらから
| Permalink | 0