越境ECの拡大、国内産業保護と消費者利益
日経新聞に経産省が発表した越境EC急拡大のデータと今後の問題点に関する記事が掲載されていました。
記事によれば、越境ECによる小口宅配(個人輸入)が3年で2.4倍
米国と中国からだけでも22年度 3954億円相当で前年比6%増
内訳は衣料品34%、美容品21% 娯楽・教育16%
日本では 輸入額1万6666円以下であれば消費税も関税も無税
アメリカでは 800ドルまで無税と聞いています。
ですから、トランプ氏が大統領だった時に中国からの輸入品にかけた
アパレルであれば25%の制裁的な関税が、
オバマ氏の時に採択された個人が輸入してしまえば800ドル
(今の為替なら10万円以上、一人でそんな買う人は稀では?)
まで無税で輸入できてしまうというわけで・・・。
SHEIN(シーイン)やTemu(ティーム―)の越境ECの売上がアメリカで急増している背景には、
そんな政府間の駆け引きや複数の業者が介在することで膨らむコストに対し、消費者視点で、生産者と消費者を直接つなぐチャレンジもあるわけです。
そこに気づいてビジネスを急拡大させるところは、ある意味、商売人として、商魂たくましいですよね。
記事によれば、欧州のいくつかの国では、国内市場の競争をゆがめるとして、
21年に免税枠を廃止されたとのこと。
アメリカや日本でも議論が始まっているようですが、どうなんでしょうか。
国内産業保護か、消費者保護か、という議論になるのでしょうか?
もともとの主旨はなんだったんでしょうかね。
まあ、各国で摩擦が起こるということは越境ECが一定規模を超えて社会問題というか国際問題のひとつになったことは間違い無さそうです。
しかし、こういった、政府が作ったルールに対して、それを不正ではなく、上手く活用したからと言って、
「アンフェア」だと言う論調は、ちょいと違和感を感じます。
筆者も時折、アメリカやイギリスから個人輸入してますんで、まずは「消費者のミカタ」です。
いずれにせよ、実態をつかんで、どれだけ影響があるのか、消費者にも納得のできる結論を出して欲しいところですが・・・
特に日本においては、ルールを変えるのには、しばらく時間はかかるでしょうね。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
【アパレル企業のビジネスモデルが丸わかり】「図解 アパレルゲームチェンジャー」(日経BP)
第2章では、産直越境ECによるサプライチェーンとリードタイムの究極ショートカットを行ったSHEINのチャレンジについて解説しています。
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