粗利率100%の広告収入をEC事業の収益源に
11月24日の繊研新聞にZOZOのZOZOTOWNでの広告事業収入が急成長していることに関する記事が掲載されていました。
2018年度(2019年3月期)年間14億円から始まった同社の広告収入は
前期(23年3月期)4年目で77億円となり、今期上期も22%増のペースで増加中。
記事の見出しには100億円に迫る勢いと記載されています。
小売業にとって
店舗中心で販売する専門店場合
2大販管費は言わずと知れた人件費と地代家賃ですが
一方、ECなど通販のそれは
広告宣伝費と物流費が大半を占めます。
そのため、ECにおいては
広告宣伝費をどれだけかけて
事業をグロースさせるかを考えるのが初期の「常識」ですが
一方、サイトに集客力が付くと、
出品メーカーから広告宣伝費をもらったり、
他社の集客や販促を手伝う広告収入を得られるようになるものです。
つまり、広告宣伝費ってのは
外部の広告代理店などに払うのが当たり前な費用ではなく、
自社がメディア化すれば、収入が得られるようになるもの。
ですから、せっかく本格的にeコマースに取り組むなら
そのあたりを目指したいところですね。
そんな話をすると
規模が違うとおっしゃる方が多いですが
例えば「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコムさんは
年商60億円規模ですが、2億円ものブランドソリューション売上という
粗利100%の、ある意味、広告収入源をお持ちです。
この数字は、同社の販管費の中の
広告宣伝費の半分近くを
自らのメディア化で回収していることを意味しています。
さて、ゾゾの決算データに戻って
同社の受託販売は
商品取扱い高の平均29%が手数料収入となり、同社の売上高になります。
買取販売やUSED販売のような
自社が在庫リスクをとって行っている商売の粗利率は約40%
これ対して
広告収入は
売上高=粗利高
つまり粗利率100%のビジネスです。
ZOZOは今後、商品取扱高の拡大と共に
下がる出荷単価と受託販売の収益性の低下に向き合わなければならない時
同社は広告事業では
出荷する荷物を入れるダンボールをブランドオリジナルにしたり
顧客に届けたいものを同封するような販促支援費も稼ぎに行くそうです。
これまで積み上げた顧客とのつながりが収益性の高い広告収入を生む時
EC担当の方には公式サイトで
是非、そんな風景を見ることを目指して頂きたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
【アパレル企業のビジネスモデルが丸わかり】
「図解 アパレルゲームチェンジャー
~流通業界の常識を変革する10のビジネスモデル」(日経BP社)
第3章ではEコマースのビジネスモデルを可視化すると共に
ZOZOやクラシコムのビジネスモデルの強みを分析しています。
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