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May 20, 2024

世界アパレル専門店売上高ランキング2023 トップ10

20230511_200456世界的なパンデミックの影響が、中国を除きほぼ解消した2023年度。

事業をリストラしただけなのか、時代にあわせて会社を変えたかの違いで、

その後の伸び率の違いが明らかです。

世界の大手アパレル専門店各社の決算が出揃いましたので、毎年恒例の売上高ランキングTOP10を共有させていただきますね。


 円建て比較にあたり、為替レートは2024年1月末の €=159.5円、スウェーデンクローナ=14.17円、US$=147.5円、英国£=187.3円で換算しています。 

順位 社名 本社;決算期 売上高 前年比増減 営業利益 営業利益率 期末店舗数 基幹業態
1位 インディテックス (西;2024.1期) 5兆7,360億円 +10.4% 1兆865億円 18.9% 5,692 ZARA
2位 H&M (瑞;2023.11期) 3兆3,446億円 +5.6% 2,059億円 6.2% 4,369 H&M
3位 ファーストリテイリング (日;2023.8期) 2兆7,665億円 +20.2% 3,810億円 13.8% 3,578 UNIQLO
4位 GAP (米;2024.1期) 2兆1,968億円 -4.7% 826億円 3.8% 3,560 OLD NAVY
5位 プライマーク (愛;2023.9期) 1兆6,874億円 +17.0% 1,376億円 8.2% 432 Primark
6位 ルルレモン・アスレティカ (加;2024.1期) 1兆2,49億円 +18.6% 2,781億円 22.2% 711 lululemon
7位 NEXT (英;2024.1期) 1兆943億円 +5.9% 1,850億円 16.9% 458 NEXT
8位 ヴィクトリアズシークレット (米;2024.1期) 9,121億円 -2.6% 482億円 5.3% 831 Victoria’s Secret
9位 アメリカンイーグル (米;2024.1期) 7,762億円 +5.4% 327億円 4.2% 1,182 AEO、Aerie
10位 しまむら (米;2024.2期) 6,350億円 +3.1% 553億円 8.7% 2,227 しまむら

※お断りですが、大手企業の中で、アメリカのTJXやROSSのようなオフプライス・ストアはブランド企業の余剰在庫の買取販売が中心ということで、除外させて頂きました。
また、非公開企業で欧州大手アパレルチェーンのC&Aはトップ10規模、中国産地からの越境ECのみでアメリカ、中東など世界中に売り込み、急速に拡大を続けるファストファッション企業、SHEIN(シーイン)は既にインディテックスと同規模と思われますが、それぞれ、正確な売上高がつかめなかったため、除外しております。 

【解説】

順位は前年と変わりませんが、円安の影響もあり日本円換算で1兆円プレイヤーが7社に増えました。

ZARA
のインディテックスグループとルルレモンの絶好調が続き、
H&M
とファーストリテイリング(ユニクロ)とプライマークはパンデミックから回復し
アメリカ勢は引き続き苦戦が続いています。

1
位のインディテックス(ZARA)は全地域、全ブランド全販路(店舗、オンライン)で増収増益。

それを支えるのが顧客のニーズにあわせてオンラインと店舗のどちらからでも商品が提供できる

オムニチャネル体制と市場の需要にあわせて近隣国で作り足して届ける需要連動生産の両輪です。

同社の完成度は他社の追随を許さず粗利率は高まり、在庫回転率も向上し続けています。
さらに柔軟性をもたすための物流投資とチームビルディングにも力を入れています。

3位のファストリのユニクロ事業はいよいよ海外ユニクロ事業の営業利益が国内のそれを超えました。
秋に儲け、夏に利益を擦ってしまう体質だった国内ユニクロ事業の
夏の四半期(68月期)の収益性が高まっているのがわかります。

これは気温差のある多国間で在庫調整ができるグローバル企業へと完全脱皮したことの証のひとつです。

絶好調のルルレモンはアメリカはもちろん中国やその他の地域で大きく売り上げを伸ばしています。
世界的に伸びしろの大きいフィットネス需要を確実にとらえ

フィットネスコンテンツ制作の大手ともがっちり業務提携をして
顧客への価値提供に厚みをもたせ続けています。

イギリスのネクストは自社のインフラを他社に提供するプラットフォーム事業が軌道に乗り
同事業だけでグループ全体の営業利益の8%相当を稼ぐほどのプロフィットセンターになりました。
イギリス国内だけでなく越境ECのリードタイム短縮のために物流投資に力を入れています。

優勝劣敗が鮮明なグローバルトップ10企業。

人件費の安い国で作って照準を定めた経済大国のマーケットシェアを獲得するという
そんな従来型の手法は通用しなくなってきているのではないでしょうか?

SHEINなど中国産直越境ECが台頭する中で
10
年前と比べて、勝ち筋は明らかに変わっています。

国外でも、大手でもその取り組みに見習うべきことはいろいろあります。
自社のために、また、クライアント先のために応用して活かせるヒントを探しましょう。

昨年のランキングはこちら- 世界アパレル専門店売上ランキング2022 トップ10

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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