April 25, 2022

ファッション商品の中古品販売代行、リセール・アズ・ア・サービス Resale as a Service (RaaS) の可能性

Circular-economy-aいつも楽しく読ませて頂いている日経MJ連載の鈴木敏仁さんの「米国流通現場を追う」
先週はアメリカで存在感が高まる中古ファッション商品のオンラインリセール販売企業についてのコラムでした。

アメリカの中古ファッション品のオンライン販売の大手は

一般ユーザーが手放そうとする所有アイテムの販売代行をメインとする

レディース、キッズの低価格帯から高価格帯まで有名ブランドを扱う 
thredUP スレッドアップ

ラグジュアリーに特化した
The real real ザ・リアルリアル

日本のメルカリのように一般ユーザーにファッション商品に特化してCtoC売買のプラットフォームを提供する
ポッシュマーク

などがあり、これら3社はいずれも上場企業です。

このうち、スレッドアップのビジネスモデルを紹介すると、

着なくなったファッションアイテムを手放したいユーザーから送ってもらい、

スレッドアップの倉庫で販売可能かどうか、商品を検品した上、

一定期間 預かってオンライン販売開始、

その間に売れたら販売手数料をとって代金を出品者に支払う

販売できないと判断されたもの、あるいは一定期間売れなかったものは、
ユーザーに返却するか、寄付するか、リサイクルに回すという選択肢があるようです。

この間の買い手とのやりとりはスレッドアップが代行する、というものです。 

同社の決算書のPLやBSを見ると

売上の内訳は販売代行分が75%、自社在庫販売分が25%の割合のようです。

BSを見ると、在庫日数105日分の自社在庫が計上されていますね。

上場企業ですが、規模の拡大と共に、まだまだ赤字も膨らんでいる状況です。(これは同業のザ・リアルリアルも同様)

将来性を期待して投資された、投資家からの調達資金は、
ユーザーから送られた商品の検品、在庫管理、オンライン販売の自動化のシステムなど、
主に事業拡大のための自動化に投資されているようです。

やはり、面白いなと思ったのは、鈴木さんがコラムで取り上げていらっしゃる、
自らが構築した中古販売のプラットフォームをブランド企業に提供する動き
=RaaS(リセール・アズ・ア・サービス)という取り組みです。

 ※ Resale as a Service (RaaS) はスレッドアップ社の登録商標のようです。

ブランド側はサイトにスレッドアップの中から自社ブランドに特化したサイトを埋め込み、
中古品も取り扱っているように見せることができます。

ユーザーが着なくなった同ブランドの服を回収し、
将来、ブランドでの購入に使えるクレジット(クーポン)を付与

ユーザーから送料スレッドアップ持ちで送られて来た商品は、
査定から販売およびその後の処理までスレッドアップがすべて請負うようです。

サイトを見ると、アディダス、バナナリパブリック、アバクロ、メイドウェル、アンソロポロジーなど著名ブランドが参加、

また、鈴木さんが驚かれていたように、

なんと、ウォルマートのECサイト内にも、
ブランドに関係なく、ラグジュアリーブランドから低価格ブランドまで、たくさんのブランドの中古品が販売されている格好になっています(実際には裏でスレッドアップが販売代行)。

スレッドアップのサイトにも、ラグジュアリーブランドに特化するザ・リアルリアルのサイトにも
共通して掲載されているアメリカでの服の廃棄問題についての情報をご紹介しておきましょう。

アメリカ人の2人に1人は着なくなった服をゴミとして捨てる。

そのうち73%は焼却されるか、埋められることになる。

実は、その93%はリサイクル可能なのにも関わらず。

捨てるのではなく、(私たちリセール企業に)再販のために手放してくれれば、
あなたが使わなくなったファッションアイテムは第2のユーザーに引き継がれ、

商品としての寿命を2年以上伸ばすことができる。

としています。

このサービスを利用するスレッドアップと提携するブランド企業側のメリットとしては、

これまで通り、新品だけを販売し続けるだけではなく、

大量消費、大量廃棄時代に、ユーザーが着なくなったものに対しても
配慮をしているという姿勢を示すことができること。

ユーザー側も、新品だけでなく、
状態がよい古着も、ブランドを購入する際の選択肢に加えることができること。

更に、ブランド企業側にとって、
中古品がブランドに相応しくない、手放され方、売られ方をするよりは、
どんな商品がどのような状態でユーザーから手放されるのか、販売されるのか、
目が届く範囲で購買行動と共にモニターができる、

というメリットもあるでしょう。

このような、「つくる責任、つかう責任」に関与しようとする企業活動に対して

自社で取り組むブランドもあるようですが、

自社で取り組むにはコストがかかるため、スレッドアップのような企業と組むという選択肢もありなのでしょう。

かつては中古品は新品販売と競合するため、関知しない、ことがファッション企業の常識でした。

これに対して、筆者は、拙著「アパレル・サバイバル」(2019年2月出版)で

ユーザーが使った中古品と言えども、外車流通がそうであるように、
ブランド企業自身が流通に関与する時代がやって来てもおかしくない、

中古品は状態をメンテして、ブランドのエントリー商品に位置付けることができるかも知れない、

むしろ、ブランド側は今後、積極的に関与することを考える時代が来る

そんな主旨を問題提起させて頂いたものでした。

現在、日本では、

ZOZOTOWNが新品と同じサイト内で、
ZOZO社が下取りして買い取ったブランドのUSED商品を、
同じブランドの新品販売のすぐ隣にあるタブ違い(新品/中古)で販売しているのはご存じの方も多いと思います。

中古品(USED)が購入の選択肢に入り、服の寿命が長くなることは・・・

マクロ的に見ると確かに新品マーケットの規模縮小に繋がることは否めませんが、

それは過去の企業視点の発想であって、

捨てることを前提とした消費から脱却したい、という若い世代が増えて来るにつれて、

その循環を企業がみずから管理するのか、パートナー組んで行うのか、引き続き関与しない、と決め込むのか・・・

この選択は今後、避けては通れない論点であることは間違いないと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 企業はつくって売るだけではなく、これからは企業も顧客のクローゼットのワードローブの循環を手伝う時代。著書の後半部分ではそんな循環型社会の幕開けについても述べています。

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April 18, 2022

製品原価高騰時の価格戦略再考~今こそ体質改善、新しい体質づくりの時

Photo_20220426193401ここのところメディア取材や投資家勉強会でこのテーマでの依頼が増えています。

今年の秋冬ものの仕入れ以降

アパレルの製品原価がFOBベースで前年比1.2倍以上
円安で為替インパクトが同1.2倍超の水準となり

単純に掛け合わせると、仕入原価が1.5倍になりそうな勢いですから・・・

足元の売上が19年並みに戻って来た!と浮かれることなく

新しい価格政策にしっかり向き合いたいところです。

これまでの仕入原価率をそのままにしてその分価格を上げてしまうと・・・

3~4割の値上げ、いわゆるワンランク上の次のプライスラインになってしまう状況。

同じ商品の価格を上げれば、明らかに買上客数は減り、売上数量は減ることは・・・

小売業に携わるものは、誰でも痛いほど経験しているはずです。

安易に値上げしても売れず、その後、売れないからと安易に値下げをするようでは・・・

お客様を迷わせ、価格の信頼性が損なわれることは言うまでもありません。併せて店の売変作業も大変です。

では、どんな心構えで価格政策に臨むべきかを、

考えられることを少し、まとめてみたいと思います。

結論を先に言えば・・・

プライスポイント(最多価格帯)を上げずに

商品のクオリティも明らかに落ちたと感じられないように維持することを前提にしながら

つまり、「明らかに高くなった」と感じられないように、

いかに合わせ技で、結果的に、平均売価が上がる努力をするか?の耐え時と言えましょうか。

いくつか要素がありますが、メジャーな対応策をいくつか上げてみましょう。

1)プライスポイントより高価格帯の構成比を増やす

ただ高い商品の品ぞろえを増やすわけではありません。

上層マーケットで販売されている商品を対象に、クオリティを落とさず、自社らしくトレードオフ(マストでない要素をそぎ落として)でつくることを心がけることです。

キープした先のプライスポイントと価値の差が明確なほど、それら、高い商品の価格が高い理由は伝えやすいはずです。

そして、買い上げ単価の高い顧客の新規獲得を目指しましょう。

ニトリは過去にこの策で客数を減らさずに客単価を20%上げました。

2)中間プライスラインをつくる

プライスラインは1,000円刻みがお好きなところが多いですが・・・
無理せず500円刻み、200円刻みの中間プライス設定も検討する時でしょう。

今までやったことがなかったり、あるいは過去に中途半端にやって失敗したり、

違和感のある方は、ZARAやしまむらのお店を見てみてください。

3)できる限りプロパーで売り切る

在庫コントロールを緻密に行い、

値下対象になってしまうような、売上のバラツキに起因する機会損失、滞留在庫を最大限に減らす努力を。

確実に余剰在庫になりそうなものを我慢して値下げ販売しない、という意味ではありません。

早期判断、早期対処は必須です。

これは、時期にかかわらず、長年、筆者がお伝えして来た粗利捻出術のひとつです。

4)値下げする際の価格帯(プライスライン)も刻んで、粗利高の確保に執着する

安易にこれまでと同じ値下のしかたをしない。
つまり、値下げする時はすぐに1,000円オフ?なんでもかんでも30%?などのクセを止め

期限までに売り切れるものはあえて値下をせず、あるいは、大ざっぱな値下で利益を摩らないよう工夫をしてみたいところです。

ユニクロは値下価格を1,290円から1,490円にするだけで販売単価を15%上げました。

上記の他、

販管費の中にも、高く払っている家賃や生産性など、モチベーション下げずにメスを入れることができるところがないか知恵の絞りどころです。

コロナ禍で経費総額は十分絞ったとおっしゃる企業も多いと思いますが、今度は、コストカットではなく、新しい体質づくりを考える時です。

過去にもブログに書いた

値上げの前にやるべきこと

昨年、フルカイテンさんのセミナーでもお伝えした

客単価を上げる方法とは? ユニクロ・ニトリの決算書から読み解く

在庫管理を起点に考える 値引きと粗利益をコントロールする方法

などの内容も参考にしていただければと思います。

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

筆者から直接学べるオンラインセミナー 次回は5月26日(木)です。

https://dwks.jp/seminar2022/

【おススメ本】第4章(P91~)勝ち組企業の価格戦略でアパレルチェーンの基本的価格戦略を解説しています。

人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識 (中公新書ラクレ)

電子書籍 Kindle版 です。

 

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April 11, 2022

メルカリが物流子会社「メルロジ」で取り組む、持続可能な宅配物流量平準化へのチャレンジ

Photo_20220418000101 4月8日の日経新聞にメルカリが物流子会社「メルロジ」で、
「ゆっくり宅配」の選択肢を顧客に提供し、近年パンク状態の宅配物流の物量平準化に取り組むことに関する記事が掲載されていました。
記事によれば
日本の宅配件数は現在、年間50億個もあるそうですが、
そのうち、アマゾンが約7億個で全体の14%を占め、
メルカリもそれに迫る全体の約1割の約5億個にまで増えているそうです。
そして、コンビニから発送される宅配荷物のなんと、8割はメルカリ関連のものとのこと。
そこまで宅配に占めるシェアが高くなれば、メルカリ自身も、他人事ではなく、社会的な役割が問われて来るというわけです。
こちらも記事内で紹介されている宅配物流業界の情報ですが、
日本の営業用トラック便の積送効率は20年度に4割を切った模様で・・・
これは、つまり、スペースの6割以上は空の状態でトラックが走っていることを意味しています。
以前、小口のオンデマンドで運ぶゆえ、宅配物流の往復積載効率は4割程度が実状と運送業界の方が嘆いているのを聞いていましたが、
企業間物流(BtoB)はもっと積載効率は高いと思うので、平均が4割を切るとなると、
宅配(BtoC)だけでみるともっとひどい状態になっているということでしょう。
加えて宅配には再配達もありますし・・・
つまり、そんな非効率な状態では、荷主は一個あたりの宅配運賃は満載状態時と比べて
2.5倍相当の料金を払わされてもおかしくない、という話です。
そんな状況の中で、
これまで「安く、速く」が競争の常識だったEC宅配の世界で、
ゆっくりでいい人は送料が割引、あるいはポイント付与のようなサービスを増やして行こう
という試みが「ゆっくり宅配」の目的です。
需要の都度、荷物が動くBtoC宅配だったとしても、
上手く、定期ルート便の物量を平準化することにより、出来るだけ顧客の近くまでBtoBで運ぶことによって実現するチャレンジ。
元アマゾンの物流責任者だった方がメルカリに転身し、
「速さ」とは180度違う観点で取り組む物流プロジェクトというから面白いことになりそうですね。
上手く軌道に乗り、将来は、メルロジがメルカリ以外の他社の荷物も運ぶサービスを提供するようになることを楽しみにしています。

 

記事を読んでいて思ったのですが・・・

日本の企業って新しい施策に取り組む際
競合他社を見て競合対策で取り組んだり、
社内の業務の都合で導入が決まることが多く・・・
顧客の立場で考えるって視点が欠けている
顧客不在の議論をしている企業が結構多いなって、いつも感じるのは私だけでしょうか?
送料の安さや速さを競うスピード配送しかり。
特定の部署だけが導入する部分最適なDXと呼ばれているソリューションなんかにも多いなって感じます。
そして、その結果、どこかに皺寄せが来たり、無理強いが起こるわけです。
そのツケを顧客が払わされるとなると最悪です。
配送のスピードについては、
確かにお客さんの中には、「速く」を希望する方もたくさんいらっしゃるとは思いますが・・・
選択肢を提示すれば、自分の都合で店舗へ取りに行く方もいらっしゃれば、
急いでないから、あるいはいつでもいいからできるだけ安い選択肢を好む方もいらっしゃいます。
そんな顧客の要望の多様性を理解して、上手くミックスして、知恵を絞ってサービスを提供することこそが、
これからの持続可能な経営のカギになると思っています。

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 

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March 22, 2022

ZARA(ザラ)のインディテックスの2022年1月期(FY2021)決算。最高益間近の回復力の源泉はオムニチャネル施策と・・・

Zara-london_20220322193601先週、ZARAを展開するインディテックスグループの2022年1月期決算発表がありましたので目を通しました。

売上高 3兆5835億円 前年比135.8%、前々年比98%
粗利率  57.1% (+1.7%)
営業利益 5,536億円 前年比284.1%、前々年比89.7%
営業利益率 15.4%(+8%)

ユーロ=129.3円換算

世界がパンデミックに見舞われている状況の中
世界アパレル専門チェーンの中で売上・利益とも世界一の座を引き続きキープしました。

四半期ごとに見ると 
1Q (2月~4月) はパンデミックで苦戦しましたが、
2Q(5月~7月)と3Q(8月~10月)の2四半期は過去最高売上と最高利益を更新
4Q(11月~1月)はオミクロン株による主要国のロックダウンがあり苦戦

4Q の失速で通期では過去最高業績だった2019年には届かず。

売上高と営業利益は届きませんが、

粗利額だけ見ると過去最高額を更新したことに目が止りました。

粗利額は過去最高なのに、なぜ、営業利益が届かなかったかの要因として

4Qのオミクロン株による店舗閉鎖の影響により、

急遽 在庫消化のためにかけた販売管理費が大きかったため、

結果、2019年に勝る営業利益が残せなかったことを挙げています。

決算明けの2月以降は過去最高水準を更新しているとのことです。

決算を見る限り、すでにコロナ前の水準を上回る販売パワーを回復したのは間違いなさそうで、

それに大きく貢献したのが、全世界の全店舗で店舗とオンラインの完全統合、

つまりオムニチャネルプラットフォームの構築の完了です。(これは当初計画より1年早い完了です)

要は、店舗売上は2019年比で8掛けまで落ちたままですが、

ECが売上比25.5%まで伸び(前年比で114% 2019年比では2倍)、

店舗単体の売上減少分をECでしっかりカバーしている状態です。

もっとも、もう、店舗売上がどうだ、EC売上がどうだ、と言っている時代ではありませんね。

お客様の需要にあわせて、在庫がある商品をどこからでも提供すればいい話であって、

同社ではそれを可能とするプラットフォームが完了したという話です。

今回のレポートを読んでいて、一番印象に残ったのは・・・

アメリカ合衆国(USA)の売上の伸びが大きく、同社が展開する世界98カ国の中で、

USAの売上がスペイン国内に続く、第二の売上を稼ぐようになったという一文でした。

USAの具体的な金額は公表されていません。

インディテックスのスペイン国内の売上比率は14.4% (8業態で1267店舗)あり、圧倒的だと思いますが、

アメリカ合衆国にはZARAが99店舗あるのみ。100店舗以上展開する国はほかに10カ国はあります。 

H&Mにしても、アメリカの業績は絶好調と言いますが、EC売上比率が高いにしても

いったい、アメリカのZARAの店はどれだけ売るんだい!と思ったものでした。

ちなみに、セグメント別情報を見ると 

ZARA(ザラ)業態は売上高、最終利益共に、過去最高を更新した模様です。

やはり、世界中のアパレルチェーンにとって、

インディテックスはこの業界最高のベンチマーク先のひとつだな、と感じたものでした。

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】店舗とオンラインの完全統合を果たしたZARA。ZARAはどうして、いち早く市場に対応できるようになったのか?その背中を見ていれば、まだまだ、追随するファッション企業がやるべきことはたくさんありそうです。

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

 

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March 14, 2022

LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンの事業ポートフォリオの強み

Lvmh3月14日(月)発売のWWDJAPANに月イチ連載させて頂いている「ファッション業界のミカタ(ファッション流通業界の決算書の読み方)」連載35回目では

「LVMHの財務諸表に見るポートフォリオ経営」というタイトルでラグジュアリーブランドのコングロマリット、ルイヴィトン、ディオール、ティファニー、モエ・エ・シャンドン、ヘネシーなどを展開するLVMHの2021年12月決算を取り上げ、
年商8兆円を超えるLVMH社のビジネスモデルをいくつかのグラフで可視化してみました。

まず、2021年の業績は、地域別に見るとアメリカと中国の大幅回復、ファッション&レザーグッズとウォッチ&ジュエリーの伸びで過去最高の業績を更新した同社。

単にティファニーを買収したからだけではなく、
売上構成比の約半分を占め、利益構成比の8割を占めるファッション&レザーグッズが絶好調で、2016年からの年平均成長率だけを見ても2020年度を除き毎年コンスタントに20%ずつ成長し、この規模においても、グループ全体では2桁増を続けているのが強さの源泉です。

グラフ化して面白かったのは

〇 売上が大きく利益率が高いファッション&レザーを核に、

〇 商品回転は悪いですが、利益率の高いワイン&スピリッツ、

〇 利益率は低いが単価の高く金額を稼ぐウォッチ&ジュエリー、

〇 利益率は低いが在庫が回転してキャッシュを稼ぐパフューム&コスメティック、

〇 その他にSEFORAセフォラやDFS(免税店)のようなリテール事業を運営していますが、

ぞれぞれが役割分担をするように、補完し合う、事業の組み合わせとバランスがとても面白いと思いました。

そして、ブランドビジネスというより、富裕層をターゲットとした投資会社としての側面を垣間見ることができました。

複数事業を運営する企業にとっては、この事業ポートフォリオのバランスのとり方も重要な経営センスのひとつだと確信します。

ご興味を持って頂きましたら、本日発売のWWDJAPAN3月14日号をお読みください。 

ウェブ版は来週以降に公開になると思います。

とても面白く、グローバルビジネスを考える上で参考になる事業モデルのひとつですので、

今後、同グループをビジネス&財務の側面から定点観測をして行きたいと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】これから10年先のファッション消費の未来、そしてアパレル企業生き残りのカギになることは何?国内外で進む、顧客の購買行動の変化に合わせたオン・オフ問わないオンラインの活用、そして顧客のクローゼットを起点としたサステナブルな取り組みとは?いずれにせよ、カギとなるのはお客様のストレスの解消しようとする情熱とそれを実現するイノベーションです。

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February 28, 2022

ファッション流通企業のこれからの物流戦略考

32cimg0465_20220302185801先日、フルカイテンさん主催のオンラインセミナーに登壇させていただき、

アパレル小売業がEコマースの拡大によって増える物流問題にどう向き合うかをテーマにした対談をさせていただきました。

在庫コントロールやサプライチェーンを専門にしていると・・・

商品をどう運ぶか、どう最適配分するかを考えるにあたり物流問題は常にセットで考えて来たものでした。

但し、これは企業間(BtoB)物流です。

しかし、今、エンドユーザーへの宅配(BtoC)を含め、小売業は大きな岐路に立たされています。

長年、小売企業において経営課題となる2大販売管理費項目は

店舗の家賃と人件費でした。

注文した商品が作られてから販売拠点まで届ける物流費の多くは
これまで仕入先が負担してくれていましたし、

お客様(エンドユーザー)は店舗に足を運んで買いに来てくれていたので、

小売業にとって物流費はこれまで、どちらかと言うとマイナーな経費の位置づけだったかも知れません。

 

しかし、Eコマースが増えるにあたって、小売業自身が顧客に届けるための経費が
着実に膨らみはじめています。

例えば

ユニクロを展開するファーストリテイリングや
大手セレクトショップのユナイテッドアローズ

などの決算書を見ても

5年前には掲載の無かった荷造運賃や物流業務の委託費が

「主な販売管理費項目」として開示されるようになったことでもわかるように

小売企業にとっても物流費は大きな経営問題のひとつに入る時代になったのです。

 

物流はそもそも企業間(BtoB)で

中継をしたり、
積送効率を高めたり、
往復便を無駄なく活用したり

工夫をしながら効率を高めて来た長い歴史はあるものの

こと宅配(BtoC)となると歴史はまだ浅いため

往復平均積送効率が40%という業界関係者の話を聞くと
まだまだ改善の余地はありそうです。

そして、小売業にとってそれまでそれ程かからなかった経費が主な販管費になり、更に増え続けるのであれば

損益の取り方、ビジネスモデルを根本的に見直さなければならないことは
言うまでもありません。

これは、ファッション小売業に限らず、
デリバリーの需要が高まる外食産業他、異業種にも言えることでしょう。

経営にインパクトがあり、なおかつ
顧客と約束し、お届けする最前線を物流が担うとなると

店舗の立地と世界観や接客とも並ぶ
損益と共に提供クオリティも考える必要も出て来るかも知れません。

顧客最前線の現場に即して、働く人の生産性を高めながら、

最大限の粗利を獲得できるように
在庫コントロールを実践することを考えて来た観点からすると

物流費はこれからは

抑える経費

という考え方より

営業利益の原資である
粗利を最大化するために

上手に使う、

つまり、かけるからには

いかに生産性が高まるように投資をするか

と考える必要がありそうです。

商品在庫は
適時適所適量を実現すべく

つまり、ムダなところに在庫は置かずに
粗利を稼ぐところに配置する

これはこれまでも物流に対するポリシーなくしては語れませんでした。

それは商品部に属するスタッフ
(MD、バイヤー、DB、在庫コントローラー、フィールドMDなど)が
粗利と共に在庫に責任を持つ立場だからできることでした。

そして、これからは、

EC担当者も、

更に今までは管理部門に属していたかも知れない

物流担当も

販売管理費(経費)の一部としての
物流費だけを見るのではなく、

生産性つまり、
物流費を効率よく活用することで
いかに粗利を高めるか、という

粗利と費用の双方の視点から見ることができるようにしないと
粗利最大化に向けての企業の目的に歯止めをかけてしまいかねません。

ところで、チェーンストア経営で以前から重視されている
指標に「分配率」という指標があります。

稼ぐ粗利のうちどれだけを

人件費に分配するのか
を表す「労働分配率」

家賃に分配するのか
を表す「不動産分配率」

広告宣伝に分配するのか
を表す「販促分配率」

など

物流費が大きなウエイトを占めるのなら
今後、「物流分配率」という考え方も
登場してしかるべきです。

※物流分配率は、すでに使っていらっしゃる企業もあるかも知れませんが、
 筆者の造語(思いつき)です。

労働分配率を一定とした時
現場の工夫で増えた粗利は

人件費のアップ、
つまり賞与の原資として使われて来たものでした。

であれば物流分配率についても

物流分配率一定として
現場の工夫で増えた粗利は

物流関係者の人件費増という
モチベーションのしくみをつくってもおかしくはないはずです。

物流セクションが粗利を稼ぐ
生産性を高めて営業利益を増やす

そんな物流部門のプロフィットセンター化に向けて
いよいよ動き出す時が来たのではないでしょうか?

多くの従業員が自分の担当数値責任ではなく、
企業や事業や担当部署のPL(損益計算書)で考えられる全員経営へ。

右肩上がりではない市場においては、
売上高だけを見ていては戦えません。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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February 21, 2022

ZOZO(ゾゾ)とアパレル専門店の財務諸表(PL、BS)を比べることで見えてくるEC拡大時代の経営課題

Zozo-pl-bs2月14日発売のWWDJAPAN、月イチ連載させて頂いている「ファッション業界のミカタ(ファッション流通業界の決算書の読み方)」では

日本最大級のファッションECモール ZOZOTOWNを運営するZOZOの損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)の構造を、よくあるアパレル専門店のP/LとB/Sとの違いを比較することで解説をさせて頂きました。

 

エンドユーザーから見ればECモールも専門店も同じ小売業に見えますが、両者の財務構造が違うのは言うまでもありません。

ZOZOの場合、受託販売をメインにしているため商品在庫が極めて少なく、有形固定資産(店舗や倉庫資産投資)や敷金や差入保証金のような寝かせる投資資金が少ないのがBSの資産側の特徴です。

自社在庫を販売しているわけではないので、P/Lは売上原価が少なく(同社売上比5%程度)、ハンドリングする商品取扱高の30%程度の販売手数料収入を中心とした粗利がとても大きく見えます。

販売管理費の主要項目は、一般アパレル小売業が店舗と人件費が2/3占めるのに対し・・・

ZOZOは荷造運賃と物流関連人件費(業務委託含む)と本社人件費で2/3を占めます。

店舗型小売業よりも家賃・設備などの固定費が少なく、

人の生産性も高く、

近年、広告宣伝費販促費が圧縮出来ているので

高い営業利益率が獲得出来、積み上がるキャッシュや純資産の原資となっています。

リアル店舗とEC専売のECモールの大きな違いを見ることで・・・

これからEC化率が高まり、リアル店舗中心の財務構造にECビジネスの構造が被さって行く小売業が

向かって行く方向性や予想される変化と共に経営課題も予見出来ます。

それにしても、プラットフォーマーは在庫を持たずにビジネスを回しているので、現預金が多いのが非常に羨ましいですね。

店舗に家賃をたくさん払い、在庫を山のように持って商売をすることを何とか見直せないものかと、
そして、これからはP/L脳だけでは勝てない、B/S脳で勝負しないと勝ち残れない

と、あらためて考えさせられたものでした。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】これから10年先のファッション消費の未来、そしてアパレル企業生き残りのカギになることは何?国内外で進む、顧客の購買行動の変化に合わせたオン・オフ問わないオンラインの活用、そして顧客のクローゼットを起点としたサステナブルな取り組みとは?いずれにせよ、カギとなるのはお客様のストレスの解消しようとする情熱とそれを実現するイノベーションです。

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February 14, 2022

Amazon アメリカでのプライム会員年会費値上げで考える ECの送料負担

20220214_181247Amazonが2月から(既存会員は3月末から)アメリカでプライム会員の年会費を20ドル上げて年139ドルにすると発表しました。

4年に一回20ドルずつ上げて来て、今回も前回の値上げからちょうど4年目にあたる年でした。

プライム会費はミュージックやビデオなどのサービスがついたサブスク会費ですが、基本的には注文商品を早く、確実に商品を顧客に届けるための送料の原資であり、
物流コストの高騰(人件費含む)を、今回値上げの理由に上げていますから、今後も物流費が年会費のカギを握ることでしょう。

ちなみに日本においては2019年に3900円から4900円(月額500円)に値上げし、今回、日本では値上げはありませんが、アメリカと3倍以上もの開きがありますから、物流費高騰の日本においてもいずれは値上げとなるのでしょうね。

多くのアマゾンユーザーにAmazonはあたかも送料が無料?のように感じさせているマジックがこのプライム会員制

ちなみAmazonのプライム会費含むサブスクサービス部門の売上は同社の売上全体の6%を占めているそうです。

しかし、AmazonUSが物流費用の高騰を値上げの理由にしているように、私たちが支払っている年会費が送料の原資になっていることは忘れてはいけません。

Amazonは、自社の短期的な儲けではなく、市場における顧客体験のハードルのバーを上げ続けることを是とする、明文化された社内の行動指針が存在するので、追随他社から見ればクレイジー、過酷と言えるほどのサービスリーダー的存在です。

そして日本においても、競合たちはAmazonがリードする送料や配送スピードの基準を意識せざるを得ない「呪縛」に囚われてしまっています。

しかしながら、冷静に見つめれば、宅配を前提にしたECビジネスにおいては、送料こそが最大の販売管理費であり、これをどう扱うか、つまり顧客に負担してもらえるか、企業側が負担することになるのがビジネスの損益を決することは言うまでもありません。

世の中を見渡すとECの送料体系にはいろいろあります。

・いくら購入しても送料は◯◯◯円
と、その企業が業者に払うであろう送料をそのまま顧客負担にするパターンもあれば

・初回会員登録で送料無料(その後は基本有料)

・一回あたり5,000円以上のご購入で送料無料

このあたりが一番多いパターンでしょうか?

また

・いくら買っても一律210円、一律396円など、送料の一部を顧客に負担してもらうパターンや

・送料無料の原資として年会費を徴収するなど

さまざまな設定があります。

 

今のところの勝者は、

もともと送料込みで一律価格設定が出来ているサブスク的な専業(食品など)や

そもそも送料が含まれている宅配ピザのような、双方宅配前提、承知の上で価格設定がなされ、そんなビジネスモデルでPLが組めているところ

はたまた

ZOZOTOWNやEC専業のように、少額で、高く感じられない一律送料を顧客に一部負担してもらっているところ、

あるいは

出荷あたりの粗利額がしっかり取れていて出荷一件あたりの送料や個数あたりの物流関連単価のインパクトが損益にさほど影響がない企業

のように思います。

ちなみに勝者って売上だけを伸ばしていところではなく、しっかり利益も残しているところを意味しています。

一方、単価が低かったり、粗利が薄利なところで
お買い上げ5,000円以上で送料無料にしているのところは、

例え売上は伸ばせても、正直、あまり儲かっていないのではないのが現実ではないでしょうか?

そういったところは、アマゾンのようにサブスク形式で原資(固定費)を確保するのも手かも知れませんが、
会費を払うかどうかは、購買頻度や得した感の演出にもよるでしょう。

服だけを販売しているところは、そうしょっちゅう同じブランドで買うわけじゃないので、年会費を頂くのは結構ハードルが高いかも知れません。

そう、EC時代の勝者は、何らかの工夫で企業側が送料をもろかぶりしないところ、それがキーワードのひとつではないかと思っています。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

Furukaiten-224【セミナーのお知らせ】 2月24日(木)10:30~12:00 フルカイテンさんのセミナーに登壇します。

テーマは「物流2024年危機」を見据えたOMO戦略 ~物流コストを粗利益に換える発想転換~

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January 31, 2022

Amazon(アマゾン)が解決しようとするファッションストアの課題とは?

Amazon-go

アマゾンが初のリアルファッションストア、amazon style (アマゾンスタイル)を今年の年末までにロスアンゼルス北部のグレンデールにあるオープンモール型ショッピングセンター、アメリカーナ・アット・ブランド内にオープンするそうです。 

The AMERICANA at Brand

amazon styleの売場面積は848坪、同SCのHPにあるダイレクトリーを見るとH&Mの隣になる模様。

同ショッピングモールはノードストロームがアンカー(核)テナントになっていて、
ハイブランドは入っていませんが、J.CrewやLulu LemonやAnthropologieやNike Community Storeなど中の上くらいのブランドが多いようなので、だいたい客層は想像できるでしょう。

ここ、以前「ライフスタイルセンター」というキーワードが話題になったころ、10年近く前でしょうか、
一度、視察に行ったことがあるところです。

品揃えは、メンズ、ウィメンズ、靴、アクセサリー

基本セルフ販売で、程よくコーディネート提案をする売場の中で、

・気になった商品のQRコードをショッピングアプリでスキャンして詳細を知り、

・試着したい場合は、試着予約をして試着室に用意ができればアプリにお知らせが来る

・試着室内のタッチスクリーンで他の色、サイズ、商品をもって来てもらうことも可能

・試着不要であれば、注文後、ピックアップカウンターからそのまま持ち帰ることもできるようです。

また、

・オンラインで見つけたものをアマゾンスタイルに取り寄せ、試着することも可能。

・店舗で一度スキャンした商品は、帰宅後に再考できる。

という オン↔オフを行き来する顧客のシームレス体験も可能とし、

過去に購入したり、閲覧したり、スキャンしたりした商品からAI(機械学習)による商品のレコメンドもしてもらえるそうです。

amazon styleがどんなイメージになるのか?のビジョンはこちらの動画ではっきり紹介されています。

amazon style

 

amazon go(アマゾンゴー)でコンビニの

amazon books(アマゾンブックス)で書店の

顧客の店舗でのお困りごと(ペイン)を見事に解決したamazonが・・・

果たして、ファッションストアにおいて固有のどんなお困りごとを解決しようとしているのか?

ニュース記事で読んだり、この動画を観る限り、

さすが、顧客の「ナラティブ」から発想するアマゾン、

かなり、現在、顧客の立場になったら考え得る、ファッションストアにおける顧客ソリューション型の

OMO(Online merges with Offline)のビジョンを実現しようとしていますね。

そして、そのビジョンは、

アパレルの世界王者である、ZARAが

2018年に六本木で行ったONLINE POPUPストアの試みにかなり近いものがあるというのが筆者の見立てです。

そして、あの時のZARAの試みよりも、更に優れているのは・・・

・多くのブランドの中から選べること、

・オンラインで見た商品を店舗に取り寄せて試着できるところ、

そして、

・購入した商品をその場から持って帰ることができるところでしょうか。

(ZARAの場合は、当時、午前中注文したら、夕方以降に店舗で受け取れる、あるいは宅配の選択肢でした)

どうぞ、みなさんも動画を観て、未来のファッションストアを想像してみてください。

年末のオープンが楽しみですね。

筆者もいずれ、海外渡航に自由に行けるようになったら、

いの一番に体験しに行きたい店舗のひとつだと感じました。

関連エントリーー【アメリカ西海岸リサーチその1】 ストア側からのデジタル化が進むアメリカ amazon books、 amazon go 、そしてNikeが実現しようとしていること

関連エントリーーナラティブ(顧客を主人公にした物語)から考える

 

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 これから10年先のファッション消費の未来のカギになることは何? 世界で進む、顧客の購買行動の変化に合わせたオン・オフ問わないオンラインの活用、そして顧客のクローゼットを起点としたサステナブルな取り組みとは?いずれにせよ、カギとなるのはお客様のストレスの解消しようとする情熱とそれを実現するイノベーションです。

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January 24, 2022

「豊かさ」を超える、選択肢のワナ

Photo_202201291849011月24日の日経新聞、インサイドアウトというページに良かれと増やす、多すぎる品揃えは逆効果で、購入率を下げるという研究結果に関する記事が掲載されていました。

学生を対象にしたある調査では、
目の前に並んだ人気スイーツ12種の中から3つ選ぶ場合と、4種類の中から3つ選ぶ場合、
多い選択肢から選んだ場合の方が、「後悔」や「選び直したい」という思いが多かったそうです。

また、ジャム売場で行った試食から、試食した人の中からどれだけの人が購入に至ったかの調査では

6種類で試食を実施した際は 3割が購入に至ったのに対し、
24種類に増やした場合、たった3%しか購入に至らなかったそうです。

これ、「選択のオーバーロード現象」というそうです。

多くの選択肢がもたらす必要以上の情報を負担に感じ、
決断や行動が乱れてしまう状態を指すようで、

似たようなものに感じ、明確な区別がつかないまま選んだ結果に、
納得できない感情が募る、ということも起こるようです。

思い起こすと、学生時代(1980年代)、
経済学を学んだころ、「豊かさ」とは「選択肢の豊富さ」だと教えられました。

時を経て、競争下の企業努力もあり、今や、種類も価格も豊富過ぎる選択肢に溢れ、
店頭のみならず、オンライン上も加えれば、選び切れない品揃えが現実。

従って、一番安いのか、一番有名なのか、
あるいはランキング上位、はたまたレビューが多くてよいものから選ぶ
というのが購買心理でしょう。

似寄り品を増やしてしまったり、色数を増やしてしまうのは、

お客様を迷わせるだけでなく、商品管理が難しくなり、残在庫の要因となる
仕入担当者の改善すべき「クセ」のひとつ。

黙っていても、売り切る力があるのなら別ですが・・・

 

期末余剰在庫を検証すると、売れ筋商品の売れない色がごそっと残っているというのも多くの現場で上位に上がって来ます。

適度な選択肢の提供、絞り込みはお客様のためであると共に・・・
企業利益のためでもあることを、あらためて肝に銘じたいものだと思いました。

関連エントリーー色展開よりサイズ展開を増やした方が顧客層は広がる

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 

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