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第2話 流通革命の主役交代

 百貨店やスーパーの衣料売上が低迷を続けています。

 高度経済成長期から一九八〇年代にかけて、仕入れ先のアパレルメーカーの協力を得て、百貨店は「ブランドの豊富な品ぞろえ」を、その後、スーパーは大量仕入れによる「価格の引下げ」を実現し、私たちの生活を豊かにしました。

 しかし、今、彼らに変わって売上を伸ばしているのは、ユニクロや無印良品に代表される、自社企画品を直営店で販売する「アパレル製造小売業(SPA)」と呼ばれる企業です。

 百貨店やスーパーが、アパレルメーカーと協同で商品の責任を負ってきたのに対し、アパレル製造小売業は、中間業者を減らし、中国など海外の生産工場に直接発注をします。 流通を簡素化することによって浮いたコストを、価格を下げて生活者に還元するだけでなく、素材の品質向上に当てたことも大きな特徴といえます。

 その結果、従来と同じ品質の商品を、四割安から半額以下の値段で買うことができるようになったのです。

 こうしたアパレル製造小売業は、数シーズン着られれば十分な無地のベーシックウエア、インナーウエア、カジュアルウエアの領域で拡大・成長し、ファッション業界に「安くても品質が良いのはあたりまえ」、という革命を起こしました。

 長く大切に着たい服やよそ行き着は百貨店やセレクトショップで、ベーシックウエアーや普段着はアパレル製造小売業で、というように、私たちが着る目的に応じて上手に使い分ける。選択の幅が、広がっているのです。

(ファッションビジネスコンサルタント)

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