第9話 鮮度が高まるアウトレットモール
百貨店や駅ビルなどで販売されているファッションブランドが、常時割引価格で購入できるアウトレットモール。
シーズン遅れ、売れ残り品ゆえの“ワケあり”の安さと割り切って、掘り出し物を探すのが楽しみです。買い物好きにはたまらない場所ですが、今回はそのアウトレットモールに起きているうれしい変化をご紹介しましょう。
これまでアウトレットモールは、百貨店や駅ビルにあるブランドの通常店に影響しないように、中心地から離れたところにあるものでした。ところが、最近出店したアウトレットの中には、半日あれば、車が無くても電車で一時間以内で着く駅から歩いて行ける立地も増えました。週末のお出かけ先から、日常の買い回り先のひとつになりうる、生活圏の中に入り始めたのです。
また、ブランドメーカーは、これまで売れ残った商品の処分場所としか考えていなかったアウトレットを新しい販路と認めて意識を変え、鮮度のある、正規のお店と遜色ない商品をそろえるようになったのも大きな変化です。アウトレット専用お買い得商品を作るブランドもあるようですが、むしろ、通常店で一定期間販売し、鮮度が落ちかけた商品を、賞味期限が切れる前に、セールを待たずに、早めにアウトレットに回してしまうブランドが増えているのです。
その結果、通常店とアウトレット双方のお店に並ぶ品ぞろえの鮮度が高まり、ともに売り上げが上がる。ブランドにとってもお客さんにとってもハッピーな効果をもたらしているようです。
より身近で魅力的になったアウトレットは、日常のお買い物の選択肢のひとつとして“使える”存在になりつつあるのです。
(ファッションビジネスコンサルタント)
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